報告 : メディフェス分科会「いま、成田空港で何が起きているか」 | |
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開催中の「TOKYO メディフェス2009」に出かけ、9月20日午後にウイメンズプラザ・ホールで開かれた分科会A「映画上映&トーク」に参加した。「いま、成田空港で何が起きているか」と題したこの企画には、約100人が集まった。主催は「成田プロジェクト」。 第一部に上映された映画「第二砦の人々」(監督・小川紳介/製作・小川プロダクション/1971年)は、三里塚空港(成田空港)の建設に反対して闘った農民、支援者らの姿を追ったドキュメンタリー作品だ。 スタッフは現地に泊まりこんで農民と寝食を共にし、信頼関係を築きながら撮影を続けた。機動隊と重機よる強制代執行に対し、家族・同盟が一丸となり、命をかけて抵抗した闘いの記録である。 モノクロのカメラがとらえる衝撃的なシーンの数々。とりわけ印象的なのは、砦の内側の農民たちが、外で機動隊とぶつかり次々と逮捕されていく学生を思いやりながら、敵の次なる攻撃を迎え撃つ方針を、話し合いを繰り返して決めていることである。これでもかこれでもかと本音の討論に肉薄する視線は、現在の運動のありかたに大きな示唆を与えているようで、実に意味深い。 第二部は、反対同盟農民、鎌田慧さんらによるトークセッション。司会を大野和興さん(農業ジャーナリスト・地球的課題の実験村共同代表)が務めた。 ■魂のさけび、譲れないもの 柳川秀夫さん(現地農民・地球的課題の実験村共同代表/写真)は、「映画を懐かしく見た。映っている人はほとんど亡くなったが、その思いを再認識した」とゆっくりと話し始めた。 激動の闘争史は、多くの死者や犠牲者を残した。1991年のシンポジウム〜円卓会議以降、政府は「強制的手段をとらない」と反対派に約束した。ところが最近、「空港会社が一坪共有地の売却を求める訴訟を起こす」と報じられている。 「今は重大な局面だ。反対運動の力は衰えたかもしれないが、再び闘う決意をすることもある」。「なぜがんばっているのか。メディアはもっと農民の姿を伝えなければならない」。「正しいことは正しいと、だめなものはだめだと、きちんと主張していく。人生を納得して生きる。これは魂の叫びだ。譲れないものがある」。柳川さんは言葉をかみ締めるように語った。 一橋大学大学院生の相川陽一さんは、反対同盟農民の4代目。中国地方の山村で暮らしているという。 「自分は半当事者」と切り出し、「現在は空港に地域が振り回されている。空港城下町だ。しかし空港があることで本当に、地域が豊かになるのか」と問いかけた。「有機農業をめざす若者が増えている。柳川さんが倒れたら終わりになる運動ではだめだ。三里塚は他人事ではなく自分のことだ、と感じられる運動を作っていきたい」と結んだ。 ■人道上、許されない ルポライターの鎌田慧さん(写真)が発言した。「この映像は、日本の人民が体を張って闘った貴重な記録。画面には登場しないが、いろんな人々が周囲にいた」と当時を振り返った。 取材に歩いた全国の住民運動を紹介しながら、活動家の孤立をねらった「過激派キャンペーン」にも言及。「三里塚で闘った人々が全国に散り、各地で運動を作った」と評価しつつも、「三里塚闘争はもう一歩、全国に広げることができなかった」と論じた。 最後に、東峰地区の騒音直下で生活する人々に思いをよせ、「何の落ち度もなく、何も望まずに、ひたすら日本農業の未来を担おうとする農家の頭上40メートルに、ジャンボ機を飛ばすことなど、国であれ民間企業であれ、人道上許されることではない」と力をこめて訴えた。(写真と文・佐藤隆) Created by staff01. Last modified on 2009-09-22 20:50:19 Copyright: Default |