本文の先頭へ
報告 : ピョンヤン宣言7周年のつどい
Home 検索

9月15日、「ピョンヤン宣言7周年のつどい」が都内で開かれ、220人が参加した。

2002年9月17日に、当時の小泉純一郎首相が訪朝してから今年で7年。2010年の来年は、日本が朝鮮半島を植民地支配した「韓国併合」から、100年目にあたる。

先の総選挙では自民党が歴史的な大敗を喫し、民主党が圧勝した。鳩山新政権は、韓国、北朝鮮といかなる外交を展開するのか。この日講演した蓮池透さんは、「拉致問題」における日本政府の無作為を厳しく糾弾。西野瑠美子さんは、「真の和解とはなにか」をテーマに発言した。

■満員の会場

集会を主催したのは、「『韓国併合』から100年 真の和解・平和・友好を求める2010年運動(略称・2010運動)」。会場の東京都文京区・文京区民センター大会議室には、満員の220人が集い、各方面からの発言に耳を傾けた。

最初に演壇に立ったのは、蓮池透さん(元拉致被害者家族連絡会事務局長・写真)。蓮池さんは、拉致被害者・蓮池薫さんの兄として、被害者家族として、その辛苦の体験を紹介しながら、各地で精力的に問題解決に向けた提言を続けている。

2002年10月、蓮池薫さんら拉致被害者5人は、ついに日本への帰国を果たした。透さんはこの歴史的な瞬間を振り返り、「弟の北朝鮮への帰国を止めたのは、この私。それを美談にしている安倍(晋三官房副長官・当時)さんたちではない」。「政府は土産を買うスケジュールすら決めていて、完全に5人を帰すつもりだった」と当時の方針を非難。

拉致被害者の一人・地村保志さんは手記で、「拉致事件は、国交がない日朝間の不幸な関係によるもの」と語っているという。24年もの間苦しめられてきた被害者が、北朝鮮へも、日本政府に対しても怒りを表わさずに、淡々と歴史を嘆いている。蓮池さんは地村さんの胸中を思い、「両国間の問題をもっと早く解決していたら、拉致事件は起こらなかった」と語気を強めた。

■自国民を守る対話外交

蓮池さんは今年8月、アメリカのビル・クリントン元大統領が訪朝し、拘束中の米国人記者二人を解放させたことを取りあげ、「政治家が自国民を守るのは当然。アメリカは北朝鮮に謝っている。表でケンカをしても裏で謝罪する。これこそ真の外交だ」と高く評価した。

民主党・鳩山新政権に対しては、「なぜ北朝鮮が怒っているのか、なぜ自民党時代に有効なパイプが作れなかったのかを、きちんと検証してほしい」と述べ、「政府は大きく方針転換をすべきだ。制裁ではない。対話だ。日朝平壌宣言をテコにして、北を動かしていくしかない」。「北は日本が大金を背負って謝りにくると信じている。過去の問題を速やかに処理することだ」と力をこめた。

「ノレの会」が舞台にあがり、「イムジン河」を合唱した。

■真の和解のために

西野瑠美子さん(バウネットジャパン共同代表・写真)は、「従軍慰安婦問題」における「和解」をテーマに講演。

ここ数年、「和解」という言葉が各地でささやかれている。そのきっかになったのが、「和解のために 教科書、慰安婦、靖国、独島」(朴裕河・著)という本だ。

昨今はびこる一部の和解論に、危機感を持っている。それは、被害者不在、そっちのけの仲直り和解論、真の和解を破壊する「破壊論」ではないか、と問いかけた。

過去の人権侵害や犯罪調査について、大きな成功例とされた南アフリカの「真実和解委員会」(1995年設置)に触れた。同委員会は、「恩赦=加害者処罰の放棄」を掲げている。これにより、関係者らによる真実の告白が進み、より正確で広範な事実の解明が可能になるとされている。

西野さんは、この委員会の意義に言及。日本の歴代政権が「河野談話」を踏襲するとは言いながら、実はないがしろにしている。それどころか、さまざまな手段を使って、「慰安婦問題」の国際的な進展や解決を妨害してきた、と論じた。

多くの国民の期待を背負って登場した新政権に、「市民が声をあげ、教科書に『慰安婦』の記述を復活させるよう働きかけていこう」と、締めくくった。

集会を構成する5団体からの発言の後、「鳩山新連立政権に対北朝鮮政策の転換を求めます」と題する集会アピールを採択。最後まで参加者の一体感に包まれたプログラムが、すべて終了した。

主催者は、「北朝鮮への制裁を解除し、日朝国交交渉を速やかに再開すること」、「100年余にも及ぶ過去の清算を真摯に行うこと」、「拉致問題もその一環として、対話を通じて速やかに解決すること」の3点を挙げて、新政権に対し、朝鮮半島への政策の転換を求めている。(報道部・Y)


Created by staff01. Last modified on 2009-09-19 20:19:29 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について