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若い人たちの独創性に満ちた活動〜「生存ハンドブック」出版記念イベント
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9月1日、東京・阿佐ヶ谷で行われた「フリーター労組の生存ハンドブック」出版記念イベントに行ってきました。栃木から片道2時間半の時間と交通費約3500円、参加料1500円(本代)+800円(参加費)+400円(飲み物代)=2700円の合計6200円をかけても、十分価値のあるイベントでした。

第一部では団交のやり方についての解説でした。まず労働者の闘いとして法律がどうのこうのよりも、自分が虐待されたことに対する怒りが大切である。法律は、労働者の不屈の非合法の闘いの中から作られたものである。とのフリーター労組の説明の後、具体的な例として自然食の販売をしている会社で倒産解雇された労働者(女性)が労働組合法など何も知らない中で、「社長は解雇手当を払え」。社長「倒産したくらいだから金が無い」。労働者側「社長は邸宅を持っているだろう。それを担保に金を借りて払え、銀行から借りるのでは時間がかかるからサラ金から金を借りて払え」と強くせまったら、銀行口座からお金をおろして払った話がありました。(これはあくまでもフリーター労組に加入する前の経験です。)

ちなみに労働組合法よりも、青木雄二の浪花金融道を参考にしたような闘いだったようです。組合の話では、だいぶ法律的には問題のある闘い方だったようです。彼女たちも今ではフリーター労組の組合員です。

またガソリンスタンドでアルバイトの職員が、スタンドの無人化に伴い解雇されたことに対し、スタンドの所長に抗議し「俺たちの生活をどうしてくれるんだ」。所長「アルバイトだから文句は言えないはずだ」。「アルバイトも正社員もあるか。俺たちは労働者だ」。スタンド側は警察を呼んだが「民事不介入」の原則を盾にはね退ける。その後スタンド本社に抗議行動を行い、スタンドの閉鎖をとめる。

アパレル労組のTシャツをつくっている会社で配送部門の労働者がリストラに遭い、組合を作って団交した結果、会社はこれらの人たちを販売店に配属することに躊躇し(たぶん洋服の販売よりもお客に組合活動を進めることを恐れてだろう)、組合員を3ヶ月の100%有給の休職の後、Tシャツのプリント部門をつくり、現在は組合員3人はそこで働いているとのことです。なおその会社は、海外(ドバイ)にも支店を持っており、配転させれば組合員は喜んでいくそうですが、残念ながら配転の話はないそうです。

またキャバクラのホステスへの不法行為(遅刻したときの罰金、やめる1ヶ月の給料の未払い、店長のセクハラ)などに、フリーター労組は20人ぐらいで押しかけ、店長はじめ男性従業員が阻止線を張る中で、その中の一人だけは背広姿で客を装って中に入り、お客にフリーター労組のビラを配り、店を大混乱にした話。(残念ながら成果は聞き忘れた)

京都大学の非正規労働者の組合ユニオン・エクスエクスタシーからは、首切り反対として京大正門にマグロの首を切って飾った闘争などが報告されました。

2部では、元引きこもりの青年がフリーター労組にかかわる経過を語りました。雨宮処凛さんの本を読んで、面白そうだと5月のプレカリアートのデモに大阪から夜行バスで参加し居所を見つけた青年、小卒フリーターたまさん(女性)、小学校は卒業したが中学からは登校拒否になり、その後ニートやアルバイトをして生活し、現在フリーター労組に居場所を見つけフリーター労組の共同代表を務めています。また「ユニオンぼちぼち」のイダ・ヒロユキ氏は中学生のとき、レオ・ヒューバーマンの「社会主義入門」を読み(ちなみに私はこの本を高校生のとき読みました)、今の社会はまっとうでないと考え、どうしようかと考えとりあえず、いろいろ考える時間がほしいと考え、そのため34歳で大学講師になり、その後労働運動関係の本を書いたり労働問題についての解説をしていた。しかし、大学講師の立場は年収800万円から1000万円、そして講演に行けば2時間ぐらいの講演で2万円から3万円の謝礼がもらえる。こういう環境で時給800円の人たちの問題を語っていても、何かうそっぽいのではないかと思い、やめて「ユニオンおちぼち」の活動に参加するようになったそうです。

ここまで聞いて時間が8時20分ごろになってしまったので、残念ながら電車の都合で帰る時間になったので帰ってきました。

「フリーター労組の生存ハンドブック」は大月書店より1500円で発売されています。近くの書店かアマゾンでぜひ注文してください。若い人たちの独創性に満ちた活動が見えて、とても頼もしく感じた集会でした。(古田新治)

*写真提供=同書共編著者・清水直子


Created by staff01. Last modified on 2009-09-02 23:23:45 Copyright: Default

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