JR不正取水現地調査に参加して〜惜しみなくJRは奪う | |
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<惜しみなくJRは奪う> 佐々木有美(写真も) JR東日本の信濃川不正取水の現地、新潟県十日町市をJRウォッチの仲間とと もに訪れた。JR東が意図的に超過取水と過少放流を繰り返した信濃川は、JR への水利権の取消で現在は豊かな水をたたえた大河の姿を見せてくれた。しかし 地元の「信濃川をよみがえらせる会」副会長の根津東六さんによれば、この川に はもう魚を棲んでいないという。信濃川は長年JRダムに水をとられて涸れはて 死の川になってしまったということだ。一匹でもいい、わたしは目を凝らして魚 の姿を追い求めたが、見つけることはできなかった。 一つの企業の利益のために一つの川が死んだ。それも日本が誇る最大河川のひと つが。そんなことが信じられるだろうか。でもそれが今の日本だ。そのことを深 くきざみつけられた今回の訪問だった。十日町市役所の担当係長は「東京の人は、 都内のJRが信濃川の発電で走っているのを知っているのでしょうか。地方は、 エネルギーや人を都会に供給しているのに、それを都会の人は知らないのです。」 と語った。若い人たちは進学や就職で都会に去り、地元は急速な高齢化に襲われ ているという。都会に奪われるばかりの地方の嘆きをわたしは身の縮む思いで聴 いた。まして十日町市は、5年前の中越地震で大きな被害を受けた。天災、人災 でやせ細る町の悩みは尽きない。 十日町市では縄文時代土器が多数発見されている。十日町博物館に収蔵されたい る火焔型土器を見れば、信濃川沿岸のこの地に花開いた縄文文化の豊かさとエネ ルギーを肌で感じることができる。はるか昔から続いてきた川とそこに住む人々 との深いつながり。十日町市の小中学校の校歌のほとんどに信濃川が歌われてい るという。人々が文化を築き、糧を得、遊び、釣りを楽しんだ川がJRによって 奪われてしまった。十日町市民は今回の取水停止で水量豊富になった川を見て、 昔を思い出し感激しているという。 信濃川が魚の棲める川として再生するには少なくとも5年10年はかかるといわれ る。今回のJRの水利権取消を、根津さんたちは千載一遇のチャンスととらえ、 今がんばって川を取り戻さないと取り戻すチャンスはもうないと思っている。今 後、JR東がどのような対応に出るか予断は許されないが、十日町市関口市長は 「JRが第一にすべきは住民の信頼回復と過去の清算である」と言明している。 わたしたち東京に住む人間もJR東の責任追及に力を尽くさなければならない。 根津さんたちの夢は信濃川が元のように鮭の遡上する川になり、その豊かさを求 めて多くの人々が十日町に集まる日が来ることだ。その日が来ることを願ってや まない。 Created by staff01. Last modified on 2009-06-11 12:19:45 Copyright: Default |