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羽越線事故から3周年
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黒鉄好@安全問題研究会です。
今日は、羽越線事故から3周年の節目の日です。

遺族会の活動が活発で、どんどん新しい情報が出てくる尼崎事故に比べ、この羽越線事故は遺族の表だった動きもなく、慰霊祭でさえまともな報道がほとんどないのは非常に問題だと思います。

マスコミが報道したくなるような社会的運動を盛り上げていかなければならないと思いますが、とりあえず、地元の山形新聞と河北新報(宮城県)からようやく報道を見つけましたので、お知らせします。

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http://yamagata-np.jp/news/200812/25/kj_2008122500416.php(山形新聞)より

発生から3年、追悼慰霊式 いなほ脱線転覆事故

 庄内町榎木のJR羽越本線で特急いなほ14号が脱線転覆し、犠牲者5人、負傷者33人を出した事故は25日で発生から3年を迎え、JR東日本による追悼慰霊式が同日午後、事故現場に建立された慰霊碑前で行われた。癒やされることのない遺族の悲しみを物語るかのように冷たい雨が降り注ぐ中、参列者は犠牲者の冥福を祈るとともに、事故の再発防止を願った。

 慰霊式には遺族やJRの関係者ら約150人が参列。JR東日本の清野智社長は「ご遺族の皆さまの時計の針は止まったままであり、大切な家族を失った心の痛みは消えることはなく、痛恨の念を禁じ得ない」と追悼の言葉を述べ、「この事故を決して風化させることなく、今後の重い教訓とする」と安全対策の徹底を誓った。

 参列した遺族計17人は、合掌する姿をかたどった慰霊碑に赴き、1人ずつ祭壇に花を手向けた。慰霊碑を見つめ、在りし日の故人をしのぶ男性や、ハンカチでそっと目頭をぬぐう女性の姿も。参列者の献花が終わった後、遺族はJR関係者に見送られながら、悲しみを押し殺すように式場を後にした。

 事故発生時刻の午後7時14分には、清野社長ら関係者が慰霊碑の前で黙とうをささげた。
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http://www.kahoku.co.jp/news/2008/12/20081225t53022.htm(河北新報)より

発生3年捜査難航 山形・庄内 羽越線転覆事故

 乗客5人が犠牲になったJR羽越線特急転覆事故は25日、2005年12月の発生から丸3年となる。原因究明と刑事責任の追及に力を入れてきた山形県警庄内署の捜査本部は近く捜査を終結させ、年度内にも業務上過失致死傷の疑いで立件するとみられる。当初、県警は1年以内の立件を目指したが、ほかの鉄道事故と同様、困難な捜査を強いられた。

 捜査の最大の焦点は、40トンもある列車の車体を横倒しにした突風が予測可能だったかどうかという点。自然災害か過失による事故かをめぐり慎重な捜査が進められた。

 JRの運行制御システムの検証や運転士の事情聴取、突風で吹き飛ばされた現場近くの農作業小屋の実況見分など、捜査は広範囲に及んだ。

 過去の鉄道事故でも、立件までには相当の時間がかかっている。乗客106人が死亡した05年4月の尼崎JR脱線事故。安全対策を怠ったとして、業務上過失致死傷容疑でJR西日本社長らが書類送検されたのは、発生から約3年半がたった今年9月だ。

 羽越線事故と同様、突風が事故原因とされた1994年2月の岩手県三陸町(現・大船渡市)で起きた三陸鉄道列車転覆事故の場合は約2年を要した。

 山形県警の長瀬恒夫刑事部長は「業過致死傷罪に問われる列車や航空機の事故の捜査は最も難しい。事故の背景や要因を探るため専門家に実験を依頼したり、意見を聞いたり必要な手続きを取ると、どうしても時間がかかってしまう」と言う。

 国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会は今年4月、事故に関する報告書を公表。この中で「突風の発生は予測が難しく、運転士の運転についても問題はなかった」との見解をまとめた。

 これに対し、県警の捜査幹部は捜査の難しさを認めながらも「多くの死者、負傷者を出しており、事故の責任追及は不可欠」と立件への意欲を強調する。

 JR東日本の対応については山形地検も厳しい見方を示す。菅野俊明次席検事は「事故後に再発防止対策を実施するのは当然のこと。事故が起きる前に対策を講じていれば、悲惨な事故は防ぐことができたのではないか」と指摘。起訴に向けて捜査に全力を尽くす構えだ。

[JR羽越線特急転覆事故] 2005年12月25日午後7時14分ごろ、山形県庄内町のJR羽越線砂越―北余目間で秋田発新潟行き特急いなほ14号(6両編成)が脱線し、1両目から3両目が盛り土から転落して転覆。乗客46人のうち、1両目にいた5人が死亡。33人が重軽傷を負った。

2008年12月25日木曜日
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「事故後に再発防止対策を実施するのは当然のこと。事故が起きる前に対策を講じていれば、悲惨な事故は防ぐことができたのではないか」という山形地検の言葉には、私も同感です。

日本の鉄道の安全対策は「事故が起きたら考える」という後追い型の対策がほとんどであり、そのために「事故の鉄道史」とでも呼ぶべき状況がありました。

しかし、過去に他社で起きた事故の情報が共有されていれば、少なくとも同種の事故は回避できるはずであり、過去に突風が原因で起きた事故情報を漫然と受け流し、同種の事故を引き起こしたJR東日本の対応は不誠実のひとことに尽きます。
この事故も、尼崎事故同様、JR幹部の起訴が必要であると考えます。

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黒鉄 好(旧・特急たから)aichi200410@yahoo.co.jp

安全問題研究会の羽越線事故調査報告書はこちら
http://tablet.my.coocan.jp/archives/jre-uetsu-report.pdf

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