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LNJ Logo 労働組合による派遣業の実態:レイバーネットの太田論文を批判する
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投稿者: 新運転東京地本・組合員 松岡 宥二


レイバーネット日本に秋葉原事件に関して寄稿した「人間の尊厳を大事にしあう社会・労働に向けて」という、命どう宝ネッワークの太田氏の一文とグッドウィルの廃業に寄せた労供労組協の声明について反論します。

太田武二氏は、現職の新産別運転者労働組合(新運転)の中央本部の書記長、同東京地本書記長、労供労組協副議長、連合東京執行委員であり、派遣労働について論ずるならば、市民運動の肩書きを使わず、組合の役員の立場で新運転の現状と新運転が全額出資の派遣業(有)タブレットについて語るべきです。

沖縄で米軍基地撤廃を闘っている人々の名誉を傷つけることになりかねないからです。

(1)、新運転は、職業安定法45条で労働組合にのみ許可された日雇い運転者の労働者供給事業を行う労働組合です。日々雇用を原則としており、日雇い派遣と同じような組織です。
三角雇用関係といわれる間接雇用の中で、労働者派遣事業と労働者供給事業の決定的に違う点は、

1,派遣労働者は派遣業者を経由して賃金を貰うので、派遣業者の経費と利益、それに消費税が天引きされ労働者の賃金は目減りしますが、私たちは就労している会社の指揮、命令の下に働き、直接、事業所から賃金も貰うのです。

2,派遣の雇用主は派遣元ですが、新運転東京地本は、事業所と私たち組合員の雇用関係を否定して「雇用なき使用」だと主張しているのです。即ち、われわれ新運転東京地本の組合員には雇用主がいないと言っているのです。

篠崎庄平氏が1976年に新運転東京地本委員長に就任すると、労働協約第1条を改悪して、私たち組合員を使い捨てにしてきたことは、新運転組合員の赤岩君が、篠崎委員長を訴えている裁判の陳述書に詳しく述べています。

赤岩君は、就労先を解雇され、足立労基署に訴え、半年かけて、解雇予告手当と2年分の未払いの残業代を勝ち取りました。

新運転組合員のAK君も本年3月にT社を解雇され、離職表も出されず、解雇予告手当も支払われなかったので、本年6月に、足立労基署に会社への指導を求めています。労基署は、AK君はT社の指揮命令下で働き、会社から賃金支払われているのだから雇用関係はあるとの見解を示し、離職票の交付と解雇予告手当の支払いは行われなければならないと言っています。

ところが、新運転東京地本の組合役員は、「仕事がもらえなくなるから」として会社に要求する事に協力しませんでした。

こうした例を見れば、新運転東京地本の労働が今日の日雇い派遣と似ており、とても“尊厳ある労働”と言い難いことが分かるでしょう。

(2)、労供労組協は、99年に労働者供給と派遣を組み合わせた「供給・派遣」を厚生労働省に認めさせたと言っていますが、法的な根拠も明らかでなく、派遣との相違も明らかではありません。

99年、派遣を原則自由化したときに、それまで労働組合に認めなかった事業主を擬制的に認めて労働組合の派遣業の参加に門戸を開いた、政府と連合の取引でしかなかったと私たちは見ています。こうして連合は(株)ワークネット、新運転東京地本は(有)タブレットという派遣業に進出しました。

新運転東京地本が全額出資のタブレットは、組合員との約束を破って新運転東京地本の労供先の(株)第三東海で就労していた30数名を派遣に切り替えました。労働者の賃金は1日、千数百円も下がりました。

組合員の意志を無視して、派遣に切り替えて3年、(株)第三東海は派遣の組合員を元に戻しました。これについて太田書記長は「供給・派遣」に派遣の期間制限はないとの見解を取り、「派遣期間3年という派遣法の使用年数の制限規定に囚われたものと思われる」と、08年の新運転東京地本の活動方針に書いています。

労供労組協及び太田書記長は表面上、派遣の自由化、業種拡大に反対していますが、自由化された業種で派遣業を営み、派遣の上限3年の撤廃に賛成しているのです。日本経団連会長、キャノン会長の御手洗と同じことを考えているのです。

(3)、自治労・公共サービス清掃労組(公共清掃)の高嶺支部の組合潰しに有限会社タブレットが使われました。

高嶺支部をやめて、有限会社タブレットの派遣社員にならなければ、解雇する、との脅しがなされたのです。

連合、自治労、東京清掃などの主催で6月27日、600名の参加者を集め、抗議集会が開催され、東京の労働運動で今、大きな関心を集めています。組合潰しやスト破りに派遣が使われた新しい手口です。

この件について太田書記長は、有限会社タブレットの菊地社長(新運転東京地本東支部長)のしたことで、自分は関与していないと言っているそうです。そんな言い訳は通用しません。5月31日の新運転中央本部第18回大会で、太田書記長は組織拡大と評価しているのです。

高嶺からタブレットに引き抜いてから3ヵ月以上が経過しました。しかし、未だに法律に違反してタブレットの被保険者として労働保険にも社会保険にも加入させていません。

これではグッドウイルやフルキャストなどの悪質な派遣業者と同じではないでしょうか。新運転東京地本は、赤岩君やAk君の場合と同じように10年働いてもボーナス、退職金、有給休暇、もなく、解雇予告手当もなしに首切りを認めてきて、組合員の大半は厚生年金の未加入者となっているのが現実です。

これが新運転東京地本の尊厳のある労働の実態です。私たち8名の原告が篠崎委員長を訴えて裁判中です。

詳しくは原告ら準備書面( 4 )に載っています。
次回裁判期日は、9月24日午前10時30分から615法廷です。

レイバーネット日本の読者の皆さんも、この事実に基づいてご判断下さい。
     
連絡は、yuji34@ka.baynet.ne.jp まで。

Created by staff01. Last modified on 2008-07-17 10:39:04 Copyright: Default

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