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写真報告 : 偽装請負告発者ネットが経団連に要請
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4月11日、偽装請負告発者ネットが厚生労働省、経団連、ILOと要請・請願に回り、一日権利行動を新宿区の集会で締めくくった。行政との話し合いでは、派遣法では解決できない「偽装請負」の本質的問題が浮き彫りになった。経団連は、門前であれスーツの職員に請願書を読み上げ(写真下)、文書とともに偽装請負告発当事者11名の訴えを受け取ってもらえることができた。ナショナルセンター以外の団体からは、要望は受けない方針であった経団連が非正規労働者当人たちからの意見を受け取ることは異例。ネットワークは、キャノン、松下プラズマ、東芝、光洋シーリングテクノ、朝日新聞、神戸刑務所等日本の大企業や行政機関を偽装請負問題で訴えている当事者で構成されている。(松元千枝)    

↓夜の集会

●経団連への要請書

2008年4月11日
社団法人日本経済団体連合会
会長 御手洗 冨士夫 様

日ごろの活動に心から敬意を表します。

私たちは、日本経済団体連合会に加盟する大企業などの請負労働者として長年勤務してきました。それぞれ職場は違いますが「偽装雇用」という違法行為を企業に強いられた非正規労働者です。

現在、日本に拡大し続ける非正規労働者は、正社員と同じ仕事をしても大きな賃金格差を受けながら働いています。何年働いてもボーナスや退職金も支給されず、私たちの労働はまるで商品のように扱われ、経験を積み技術が向上していても、賃金が下がっている人さえいます。

さらに、企業側に不都合が生じると「期間満了」という一言で、簡単にクビにされてしまいます。こうした人権侵害とも言える社会的排除が、あらゆる職場でまかり通っています。そのため私たちは、いつ生活ができなくなるのかわからないという不安定な状態で日々働いています。

こうした安易な非正規労働の拡大は、貧困、社会的孤立、犯罪や疾病、社会保障の権利の喪失など、重大な困難を働く側にもたらします。一方で、ものづくりの根幹である技能・伝承の衰退、企業への帰属意識の低下も招き、結果的に企業側にも大きなリスクが生じるものと思われます。

社会関係を広げて人格形成を深める20代から30代の時期に、人間の尊厳さえ守られない劣化した労働を経験することは、問題を生むものです。   自分のためだけでなく、人のためにも働きたい。
今日のためだけでなく、明日のために働きたい。

私たちは仕事を通じて社会とかかわり、そして未来を築いていきたいのです。この国の職場から、社会正義に反する行為を無くし、すべての労働者が人間らしく働くことができるように、無権利状態の非正規労働者の労働条件を改善していくことが企業の社会的責任ではないのではないでしょうか。

今、日本の若者の2人に1人は非正規雇用という不安定な状態の中、私たちだけではなく、これから生まれてくる子供たちも安心して働き生活出来るような労働政策をされますよう、日本経済団体連合会に以下の通り申し入れします。

派遣や請負など、間接雇用から直接雇用への切り替えが行われつつあるものの、契約社員や期間社員などの有期契約を多用しており、雇用や生活の安定が図られているとはいえません。

期間限定などの短期的な業務を除き、社会正義に著しく反する理由のない非正規労働者の雇い入れを禁止する労働政策を要請します。 経済的、精神的なゆとりを持って生活出来るように、非正規労働者の賃金の底上げにつながる労働政策をとられるよう要請します。 加盟会社が行った偽装請負について行政指導がされた場合は、違法労働をさせた当事者の救済のために、期間の定めのない雇用で雇い入れるよう各企業への指導・助言を要請します。

2007年度日本経団連規制改革要望の概要において、派遣禁止業務の解禁 、26業務の拡大、派遣労働者の特定行為の撤廃、派遣労働者への雇用契約申込義務の廃止などを求められておりますが、派遣法の規制緩和は派遣労働の固定化につながり、格差社会がさらに拡大するため、撤回するよう求めます。

正規と非正規との賃金格差が著しい現状を改善するために、同一価値労働同一賃金の立法化を目指すような労働政策を要請します。 公益情報通報者保護制度では、通報を行った者に解雇など不利益取り扱いをしてはならないと定めています。しかし、内部告発をした私たちに対して会社は「テントに隔離をする」などの嫌がらせや、解雇を強行しました。二度とこのような報復行為が行われないように、加盟会社各企業に対して強く法遵守を指導徹底していただきたくよう要請いたします。

以上の項目について、日本経済団体連合会の見解を文書でお示し下さい。

以 上

偽装請負を内部告発する非正規ネット (個人名略)


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