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松原です。以下、TV番組「兵士たちが記録した南京大虐殺」の感想です。

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4月6日の深夜、「日本テレビ」で放映したNNNドキュメント08「兵士たちが記録した南京大虐殺」(50分・ディレクター=中村明)という番組をみた。説得力があった。福島に住む小野賢二さんが、地元出身の元日本兵の「陣中日記」を丹念に掘り起こした記録だが、そこに刻まれた事実には重みがあった。小野さんは「当時書いたものと現代の証言とは違う。証言は本人の考え方が変わると変化するので限界がある」として、当時戦場で書かれた「陣中日記」に徹底的にこだわった。その日記を入手するために、元兵士を探しあて実に20年の時間をかけている。よくて1年に1冊入手するペースだったという。それも、小野さんは学者ではなく製造業で40年働いている労働者であり、その合間に調査を続けた。

小野さんがこだわったのは、福島・会津若松の「歩兵65連隊」という一つの部隊だった。発掘した「陣中日記」には、補給路をもたず「徴発」(略奪)しながら進軍する様子、そして南京を陥落したものの大量の捕虜に困り果て、虐殺に及ぶ経緯を見ることができる。日記には「捕虜兵約3千を射殺」「捕虜残部1万数千を銃殺」という生々しい文字が残っている。揚子江の川岸に1万人以上を囲いこんで、機関銃でダダダダと撃ち殺していくさまは「阿鼻叫喚」だったと、元兵士が94年撮影のビデオで語っている。揚子江の川岸が選ばれたのは、死体を河に流せるので処理が容易だったこと(それでも丸2日かかっている)、南京郊外なので外国に情報がもれにくいことなどがあったという。

元兵士はまたこう語っていた。「銃殺した死体にガソリンをかけて火をつけた。そして死骸を銃剣で突いて歩いて、トドメを刺した」と。「なぜガソリンをかけたのか?」という質問には、理由を述べることなく「命令だったから」というだけだった。「命令だったから」というこの言葉に「職務命令だから」「上からの指示だから」と、おかしいことにおかしいと言わなくなった今の日本を私は連想してしまった。

これまで南京大虐殺については、数万か10万か30万か、など数字の問題ばかりが話題になっているが、この番組をみると、少なくても会津若松の歩兵65連隊が行った虐殺の数字は明確だった。でも、数字よりもこうした侵略戦争の真実を知り、後世にきちんと伝えていくことが一番必要だろう。番組は、狩り出された下層農民の日本兵が家族を思いながら、精神的に追い詰められていく過程や心理も描いていて、奥が深い。深夜に流れたのは惜しいが、「靖国 YASUKUNI」の上映中止騒ぎのなかで、こうした優れた番組がマスコミに流れた意味は大きいと思う。

Created by staff01. Last modified on 2008-04-07 19:10:59 Copyright: Default

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