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●根津さんのたたかいはなぜ勝てたのか? 〜巨象を追いこんだ「一人ひとりの本気」(松原 明)

一人の教師・根津公子さんの抵抗を、巨象の石原都教委がひねりつぶそうと思えば簡単にできたはずなのに、できなかった。停職6ヶ月の処分は受けたものの、初めて累積加重処分を止め、解雇をさせなかったことは「大勝利」だった。

では、なぜ勝てたのだろうか。根津さんは「みんなの力」といった。しかし誰もが認めることは、根津さん本人の必死のたたかいだった。2月からほぼ連日、都教委に通いつめ、ノドをからしながら「私をクビにしないで」と体を張った訴えに都教委職員でさえも度肝を抜かれた。薬害肝炎の患者さんたちと同じように、当事者が頑張り、直接行動をやりぬいたのだ。それに、これも薬害肝炎と同じように「世論」(まだ小さい規模だが)を動かしたことだった。都教委のなかで「根津には世論がついているから手強い」という話が出ていたと聞く。全国11万を越える署名、アメリカ・フランス・カナダからの要請書、そして「東京新聞」はじめマスコミの取り上げも多かった。「当事者の頑張り」と「世論」、これが勝利の基本要因だった。

そして、その基本要因を支えたのが、一人ひとりの支援者だった。たとえばAさんという人がいる。この人は、毎朝、根津さんの南大沢養護学校前に通いつづけ、プラカードをもって校長に職務命令を出さないよう圧力をかけつづけた。Aさんの自宅から南大沢まで1時間以上かかるという。「なぜそんなに頑張るのですか?」という私の質問に「これは根津さんの問題ではなく、私の問題だからです。君が代不斉唱だけでクビになる世の中に絶対にしてはならない」とAさんは答えた。この間、手弁当で支援を続けた多くの個人はそんな思いだったのだろう。

大阪・三重・広島・大分から駆けつけた人、都教委に抗議電話をかけ続けた人、新聞に投書を出し続けた人、議員に働きかけて国会質問を実現させた人、マンガで訴えた人、新聞意見広告に100万円を出した人、チャリティ音楽会を開いてカンパした人、マスコミのなかで精一杯記事にした人、都庁交渉を深夜まで連日やり抜いた人・・・あげればキリがない。そうした一人ひとりが本気になって、自分の得意分野で最大限の力を発揮したこと、その総合力が、巨象・都教委を追い込んだのだと思う。だから、もうひとつの勝利の方程式は「一人ひとりの本気 + 総合力」といえる。

たしかに今回は「針の穴」をあけたにすぎない。しかし、「勝利の方程式」を今後の運動に生かせば、まだまだ状況を変える可能性はあると思う。(08/04/02)

Created by staff01. Last modified on 2008-04-03 13:53:32 Copyright: Default

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