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写真報告 : 水道橋一帯が騒然〜2・11天皇制に反対するデモ
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「建国記念の日」の2月11日、東京・水道橋で「反『紀元節」行動」が行なわれた。無数の右翼団体街宣車が大音量をあげて周辺を徘徊するなか、100余名の参加者は屋内集会とデモ行進で、歴史の偽装を糾弾し、反天皇制運動をさらに推進すべく意思表示した。

 主催は「2・11反『紀元節』行動委員会」。水道橋駅周辺には右翼の怒号が響きわたり、会場である全水道会館入口では、多数の私服警官が歩道を埋めつくして参加者をチェックしていた。

 屋内集会ではまず、主催者より4つの柱からなる基調が提起された。ひとつは日本政府の「歴史偽装」の問題。二つ目は福田政権による参戦国家化の分析。さらに右派の動向、最後に今年7月に開催される「洞爺湖サミット」についてである。

 講演は北村小夜さん(元教員)と中原道子さん(「女性・戦争・人権」学会代表)。北村さんは1950年から教員を務める。「私はいまだに教育勅語から解放されない。死ぬ間際に思わず『天皇陛下万歳』と言うかもしれない」などと複雑な心情を吐露した。そして「教科書検定が強化されたのは、1963年12月の教科書無償化からだ。この法令を評価する人もいるが、私は一番悪かったと思う」と指摘。教育現場の「心のノート」強制や、呉市の「戦艦大和ミュージアム」への修学旅行パック。さらに教室で使われているさまざまな教材や事例を挙げ、教科書以外でも子供たちへの愛国心の押しつけが日々行なわれていると告発した。

 中原道子さんは「日本軍性奴隷制問題は世界へ」と題する力強い講演を行なった。とりわけ毎年100万人もの日本人観光客が訪れるグアムで、戦争中日本軍による占領に苦しんだ人々の実態を、克明にレポートした。アジアで今なお続く男たちによる買春観光を厳しく糾弾し、国際社会が「慰安婦」問題の解決に向けて発している多くの勧告や提言、決議を紹介した。質疑応答の後、各運動団体からのアピールで集会を締めくくった。

全水道会館前の白山通りは、私服警官と機動隊、そして右翼で埋めつくされていた。警備側指揮官は、車上からしきりに襲撃の機会をねらう右翼に警告を発している。しかし彼らの「中立的パフォーマンス」はここまで。白山通りを神保町交差点へ。靖国通りを九段下へ向かうデモ隊は、そこかしこで突入をもくろむ街宣車を目撃する。

機動隊にはさまれた参加者を、ここぞとばかりに撮影する公安刑事の数も、半端ではない。デモ隊の3倍はいたのではないだろうか。大音量のヤジ、怒号。負けじと響くシュプレヒコール。水道橋から神保町一帯は、騒然とした空気に包まれた。

解散地点では、警察車両がまばゆいばかりの投光でデモ隊をけん制。参加者が三々五々帰路につくと、右翼車両は口汚く罵りながら、執拗に追尾してきた。横断歩道の青信号では、参加者に向かって発進してくる危険な行為もあった。この時、警察の姿はどこにもなかった。

「建国記念の日、反対! 戦争も天皇制もいらないぞ!」――夕闇迫る靖国神社の大鳥居に、デモ隊の拳がシルエットになった。参加者たちは最後まで挑発に乗らず、毅然とした態度で、沿道の人々に訴えていた。(レイバーネット会員・Y)


Created by staff01. Last modified on 2008-02-12 10:48:25 Copyright: Default

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