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死ぬな!辞めるな!闘おう!通信

07年11月16日 発行■人事交流=強制配転に反対する近畿郵政労働者の会
hantaisurukai@mbr.nifty.com

〔討議資料〕

大阪中央局の「再開発」を考える(郵政民営化の流れの中で)

 大阪中央郵便局の再開発が進められている。東京中央郵便局など、一等地にある大き
な郵便局を高層ビルに建て替え、開いたフロアをオフィスとして賃貸することによって
、保有不動産の再開発に乗り出すという。郵便局会社が、東京中央郵便局、大阪中央郵
便局など、都市部の一等地の資産を引き継ぐのに伴い、容積率に余裕のある
現在の建物を壊し、新たに高層ビルを建設し、そこに出店した店から賃貸料を手に入れ
、郵便局ネットワーク維持のための財務体質を強化するという。地代という、不労所得
を手に入れようというのである。一説には、JR東日本が展開した駅ナカビジネスのよ
うなものが想定されているそうだ。これまであったキヨスク、立ち食い、小さな本屋と
いうのではなく、オシャレなお店に出店してもらい、その商売を助けるというもの。具
体的なイメージは別にして、そこで何らかの商品を売ることに間違いなく、それなら、
その商品を生産した労働者を搾取して得た価値を、単に土地の地権者というだけで手に
入れようというのである。

 駅前一等地の中央郵便局再開発は小泉の想定であった。小泉内閣のメルマガ、ライ
オンハートには次のような記述があった。すなわち、それは「東京駅の駅前にも、大阪
駅の駅前にも、名古屋駅の駅前にも、一等地に中央郵便局がありますね。今は一等地で
あっても郵便事業にしか使えませんが、民営化すればもっと色々な用途に使うことも出
来るようになります」というものである。国有地が郵政民営化と共に私有地になり、今
度はその土地の私物化によって利益を手に入れようというのである。

 しかし、そもそも郵政民営化のうたい文句は利権体質の打破であった。週刊『東洋
経済』は「郵便局の未来」と題し、郵政民営化の意義を次のように言う。「3〜4年後
の株式上場を目指す民営郵政。ところが、古い体質が頑強に根を張り続けており、改革は
緒に就いたばかりだ。改革は間に合うのか、それとも既得権を守ろうとする勢力につぶ
されてしまうのか」と。すなわち、郵政に群がるファミリー企業を整理し、そこに天下
る官僚OBの根を絶つというのが郵政民営化であった。

 上場か改革後退かと提起する記事はファミリー企業と公社との結びつきを次のよう
に暴露する。ファミリー企業は219社あった、郵政OBの天下りは1600人、これ
ら企業と公社との年間取引額は1500億円、等々と。

 この取引関係はいま三つに分けて見直しが進んでいるという。すなわち、「?戦略
上不可欠な会社などは出資して子会社化する。?他社でも代替が可能な事業は一般取引
に変える。OBの派遣を辞める。?取引を辞める」である。そして非効率の4パターン
があげられ、OBが関与する企業・法人に資金が落ちるよう巧みな取引構造が構築され
ているという。それには、「経費負担型」、「局舎賃料還元型」「ノンコア事業型」「
ベンダー出資再委託型」があるという。

「局舎賃貸還元型」と題されたものの中には、特定局改革が含まれている。特定局の大
部分は局長の自宅と一体化しているものが多い。当初、生田はこれをすべて買い取る方
向を示したが、それは難しかった。そこで西川が進めているのが透明性を高めていくと
いうものだ。買い取りではなく、適正な資金の流れで賃貸料を支払うという。「特定局
長と言えど部内者(社員)」だと言うが、社員に自宅の賃貸料を支払うというのも分か
りづらい。小包の配達で、トラックを持ち込み、請け負ってもらうというのがある。そ
れと一緒で、自宅持ち込みで、営業してもらうというのなら、これまで通りであって、
特定局改革は進まない。他方、形は請負だが、実際は労働者というのなら、それは偽装
であって、透明性は確保できない。

 民営化によって利権はなくなるというのも怪しいが、仮に株式上場に値する透明性
が高い企業に郵便局が生まれ変わったとしても、それが意味するものは、新たに株券を
発行することであり、それによって不労所得階級の存続を謀ろうというのである。株式
上場で株価はどうなるかが早くも話題になっている。早ければ2009年度にも、数兆
円規模の大型上場へ動き出すと見られており、JR、NTT以来、久しぶりの大型民営
化株の上場に注目が集まっている。

 社員に対する持ち株も奨励されているが、労働者がそれによって、会社の支配権を
握ることなど不可能だ。労働者はそれに必要なだけの金を持っていないからであ
る。持ち株はむしろ、労使一体感の醸成にすぎない。

 労働現場は凄まじい長時間労働を余儀なくされている。たとえば西川社長自身次の
ように言う、すなわち「郵便事業は新決済系システムが完成していますが、やはりト
レーニングの時間がちょっと短いな、という心配があります。まだ(10月1日まで)
日数があるので、残業をしても仕方がないから夜にトレーニングをやるとか、とにかく
習熟できるようにがんばってくれということを、郵便事業の関係者に指示している」と
。これは10月1日以前のインタビューに答えたものであるが、「習熟」の問題は10
月1日以後も続いており、したがって「残業」も減っていない。面倒な操作でも頻繁に
やれば慣れるが、偶にしかしないのでなかなか慣れない。

 西川は続いて、「ノートラブルでいけるかどうか、一日に何回も(現場に)聞いた
、私のような立場の人間は安閑としておられないんですよ」と言う。確かに社長という
立場に立つと、人は安閑としてはいられないだろう。それは丁度、奴隷をむち打つ支配
人が心穏やかではないのと一緒である。そういう「立場の人間は」実際に事業に責任を
持って、仕事をミスなくこなしている労働者の心境など、どこ吹く風なのだ。

 今後、労働者の闘いが不労所得階級の支配に対して高揚せざるを得ないことを、イ
ギリスのロイヤルメールのストライキは示唆している。ロイヤルメールは2001年に
100%政府所有の株式会社になったロイヤル・メールグループの郵便部門であり、従
業員数、収益ともグループ全体の約8割を占めている。労使間で問題になっているのは
賃上げと業務縮小、すなわち人員削減である。人員削減は株式会社化の前後から進み、
6年間で4万人以上減った。これには郵便局そのものの削減や、配達回数の削減、それ
に派遣労働者の投入などが伴っている。組合は事業の合理化の必要性は認めているが、
経営側の提案が実施されるなら、約4万人の雇用が失われると見ており、雇用維持を前
提に交渉しているという。

 日本の郵政労働者にとってもストは人ごとではあり得ない。というのは、同じよう
に雇用が削減され、賃金が不安定になっており、非社員が増えているからだ。労使の対
立はいやでも高まらざるを得ない。準備8割を肝に銘じよう。


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