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写真とレポート・大地実

第1回「生活扶助に関する検討会」
厚生労働省の中と外

当事者の意見を聞こうとしない「生活扶助に関する検討会」っ てアリバイづくり会???   「生活扶助基準に関する検討会(第一回)」が厚生労働省5 階専用第12会議室で、07年10月19日の19:00から 20:30まで開かれた。同会議室は報道陣で一杯だった(写真下)。

 この日の検討会自体がアリバイ作り的な姑息な方法で急遽決 定したものであり、厚生労働省は「一般低所得世帯の消費実態 との均衡」を理由に最低生活基準の切り下げを狙っているとも 指摘されていたが、そのことは現場取材すると実感としてさら にわかるものであった。

 この国の民主主義を進展させるためには、この検討会で行わ れているようなおざなりものではなく、「きちんとした情報公 開と説明責任」に基づいた運営が求められる。

 議事次第 1.開会   社会・援護局長のあいさつ 2.議題   制度概要・現状及び水準の評価・検証について 3・閉会   配布資料(下記参照)

 およそ1時間30分の検討会の内容は、はじめに厚労省側の 主な職員と委員などの紹介があり、30分ほど厚労省の担当職 員が資料について説明。それについての質疑が30分。それを 踏まえての検討が30分というお粗末なものであった。

 年内には結論を出すと厚生労働省担当者は言っているが、こ のようなお粗末な有様で、肝心な当事者の意見・提言をほとん ど聞こうとしないのでは、「生活扶助に関する検討会」って、 ヤラセのアリバイづくり会?との批判は免れえないだろう。

 当日の配布資料は、資料1 「生活扶助に関する検討会」の 開催について(A4版2枚)、資料2 制度概要・現状に関す る資料(A4版13枚)、資料3 水準の評価・検証に関する 資料(A4版8枚)、参考資料 水準の評価・検証に関する参 考資料(耐久消費財及普及率・購入頻度(A4版11枚)であ った。

 資料1の委員会名簿によると委員は以下の5氏である。

座長:樋口美雄慶応大学商学部教授。(写真) 委員:岡部卓(首都大学東京都市教養学部教授)、駒村康平( 慶応大学経済学部教授)、菊池肇実(ヨシミ/早稲田大学法学 部学術院教授)、根本嘉昭(神奈川県立保健福祉大学保健福祉 学部教授)。

 検討会の取材を終わって厚生労働省を出ると、外は本格的な 雨降りなっていたにもかかわらず、抗議集会&リレートークは 続いていた。さっそく傍聴した人が待ち受けていた人たちに検 討会の内容を報告していた。ほとんどの人たちが急遽駆けつけ て来た人である。

 詳細報告や関係者の話は後日とし、取り急ぎ以上報告する。

   【参照 その1】
下記の緊急呼びかけ文(全文)は、当事者側からの出されたも のである。

          <緊急呼びかけ文>

まだイジメ足りないのか!?
生活保護受給者だけじゃない!低所得者全体に影響「難民」化 ・少子高齢化を推進してどうする?
ふざけるな!最低生活費基準切下げを阻止する、怒りの緊急行 動のおしらせ

【とき】10月19日(金)18:30〜21:00
【ところ】厚生労働省前
【やること】リレートーク。その時間、5F第12会議室で「検討 会」が開かれます。会議室に届くよう、一人一人が訴えましょ う。ずっといられない方でも、ちょっと立ち寄って、ひとこと 言ってやりませんか! 
【持参してください!】横断幕他アピールに使える物なんでも 。特に拡声器をお持ちの方、どなたか!!
【問合せ連絡先】080-3022-4422(湯浅。NPOもやい/反貧困ネ ットワーク事務局長)

<検討会の目的>
厚生労働省は、10月19日19:00〜20:30の予定で、「生活扶助基 準に関する検討会(第一回)」を開くことを、急遽決定しまし た。
(座長:樋口美雄慶応大学教授。委員:岡部卓(首都大学)、 駒村康平(慶応大学)、菊池ヨシミ(早稲田大学)、根本嘉昭 (神奈川県立保健福祉大学))。年内には結論を出すと厚生労 働省担当者は言っています。
 「骨太の方針2006」を受けた今回の検討会で、厚生労働省は 「一般低所得世帯の消費実態との均衡」を理由に最低生活基準 の切り下げを狙っています。

<貧困化スパイラルが進む――生活保護受給者だけの問題じゃ ない!>
本当に必要なことは「一般低所得世帯の消費実態」が上がるよ うにすることのはずですが、最低生活基準が切り下がれば、ま ったく逆の効果を生みます。それに連動している各種基準額が 切り下がり、収入が増えなくても、今まで減免されたものを支 払わなければならなくなり、負担増につながります。
○ 医療:国民健康保険料の減免基準等が下がります。
○ 福祉:介護保険の保険料・利用料、障害者自立支援法によ る利用料の減額を受けられない人が増えます。
○ 地方税:非課税基準が下がります。
○ 教育:公立高校の授業料免除基準、就学援助の給付対象基 準が下がります。
 収入が増えなくても負担が増えれば、低所得者の消費実態は さらに下がります。そうすればまた、それを根拠に最低生活費 が切り下げられ、それがまた低所得者の消費実態を押さえ込む でしょう。こうしてエンドレスの貧困化スパイラルが進行し、 人々の暮らしは苦しくなりつづけます。

<「難民」化推進・少子高齢化推進策>
 当然、国民健康保険を払えずに医療を受けられない「医療難 民」、介護保険を利用できない「介護難民」、暮らしそのもの が成立たなくなって「ネットカフェ難民」、その他の各種「難 民」が増えます。
 生活保護受給者と低所得者の「均衡」「格差是正」などと言 われることがありますが、ただ単に貧困化が推し進められるだ けで、政策による国内難民が増やされていきます。
 当然ながら、子どもを生み育てるどころではない人たちも増 え、少子高齢化はますます進行していくでしょう。
 厚生労働省はいつから、「国民の暮らしと健康を損ない、国 内難民化と少子高齢化を推進する省」になったのでしょうか?

<コソコソすんな!――やり方が姑息>
今回の検討委員会は、10月16日にHP上で初めて告知され、傍 聴希望の締切りは18日正午に設定されていました(しかも電話 受付は認めず)。厚生労働省は、10月2日に民主党・山井議員 の質問主意書に対して「やるかやらないか決まってない」と回 答したばかりでした。わずか2週間の間に、開催を決定し、人 選し、承諾を得て、期日を入れたとでも言うのでしょうか?  なるべく知らせないまま、人々の生活に重大な影響を及ぼす決 定をやってしまおうとは、国民不在、あまりにもやり方が姑息 です。

【呼びかけ人(五十音順)】
生活保護問題対策全国会議(代表・尾藤廣喜)
青木 繁幸(NPO法人神戸の冬を支える会事務局長)
雨宮 処凛(作家、反貧困ネットワーク副代表)
猪股  正(首都圏生活保護支援法律家ネットワーク共同代表 、反貧困ネットワーク)

河添  誠(首都圏青年ユニオン書記長、反貧困ネットワーク )
志磨村和可(ホームレス総合相談ネットワーク、反貧困ネット ワーク)
杉村  宏(法政大学教授、反貧困ネットワーク)
辻  清二(全国生活と健康を守る会連合会事務局長、反貧困 ネットワーク)
舟木  浩(生活保護裁判連絡会、反貧困ネットワーク)
三浦 仁士(フリーター全般労組、反貧困ネットワーク)
山本  創(DPI日本会議、反貧困ネットワーク)
湯浅  誠(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事 務局長、反貧困ネットワーク事務局長)
吉永  純(生活保護裁判全国連絡会、花園大学准教授)

【参照 その2】
 下記の抗議文は、検討会に先立って厚生労働省記者クラブで の記者会見で配布された当事者側の抗議文(全文)である。                 抗 議 文

厚生労働大臣 舛添要一 殿
厚生労働省社会・援護局長 中村秀一 殿
(関連部署:社会・援護局保護課企画法令係)                               2007年10月19日

生活保護問題対策全国会議 代表幹事 弁護士 尾藤廣喜
(事務局)〒530-0047 大阪市北区西天満3-14-16西天満パークビル3号館7階 あかり法律事務所 弁護士 小久保 哲郎(事務局長) 電話 06-6363-3310 FAX 06-6363-3320

 私たちは、福祉事務所の窓口規制などの生活保護制度の違法 な運用を是正するとともに生活保護費の削減を至上命題とした 制度の改悪を許さず、生活保護をはじめとする社会保障制度の 整備・充実を図ることを目的として、今年6月に結成された、 弁護士・司法書士・研究者・市民約170名で構成する市民団 体です。
今般、貴省において「生活扶助基準に関する検討会(第1回) 」(以下「本検討会」という)が開催されるということを知り 、これが生活保護基準切り下げに向けた動きではないかとの疑 念を持たざるをえない点、そしてとりわけ本検討会開催の発表 と傍聴希望者募集があまりにも開催日と近接しており市民に対 する周知が極めて不十分である点につき、強く抗議します。

生活保護利用者だけでなく国民生活全般に影響を及ぼす重大問 題  もし生活扶助水準に対する「検討」が、既に一部報道されて いるとおりこれを引き下げる方向で行われようとしているなら ば、それは格差と貧困が絶望的なまでに拡大し生活保護基準以 下で生活することを余儀なくされている市民が多数存在する中 で、より問題を深刻化するものであり、到底容認することはで きません。
生活保護基準はわが国において事実上貧困線としての機能を果 たしており、生活保護基準額が下がれば、それに連動している 各種基準額が下がります。事は生活保護利用者だけの問題では ない、日本で暮らすすべての人の生活に直結する重大問題です 。
○ 労働:最低賃金引き上げの目標額が下がります。
○ 医療:国民健康保険料の減免基準等が下がります。
○ 福祉:介護保険の保険料・利用料、障害者自立支援法によ る利用料の減額を受けられない人が増えます。
○ 地方税:非課税基準が下がります。
○ 教育:公立高校の授業料免除基準、就学援助の給付対象基 準が下がります。

手続上の問題:気づかれないうちに決めてしまおうという姑息 な魂胆
このように生活保護基準の切り下げは、日本で暮らすすべての 市民の生活に多大な影響を与えるものですから、充分に時間を かけて検討しなければならないことはもとより、その検討は、 広く市民に意見を求めたうえで、保護制度利用者の声を十分に 聴取し、公開された場でなされなければなりません。
ところが、本検討会は2007年10月19日19時から開催予定であり ながら、これが発表されたのは貴省ホームページによれば2007 年10月16日のことです。またその掲載を知らせるメール(「厚 生労働省 新着情報配信サービス 2007年10月18 日」)が配信 されたのは10月18日0時23分となっております。にも関わらず 、本検討会の傍聴申し込みについては10月18日12時をもって申 し込み〆切とされております。これでは、周知期間はないに等 しいと言わざるを得ません。
しかも、2007年9月19日提出に係る民主党・山井和則衆院議員 の質問主意書(質問第27号)に対して、内閣総理大臣は、同年10 月2日、「厚生労働省においては、『経済財政運営と構造改革 に関する基本方針二〇〇六』(平成十八年七月七日閣議決定) に基づき、級地の見直しを含む生活扶助基準の見直しを検討し ているところであるが、あらかじめ基準額の引上げ又は引下げ といった方向性をもって検討しているものではない。また、御 指摘の有識者会議の設置を含め、今後の具体的な検討の進め方 については、現時点では未定である」と答弁しました。しかし 、10月2日の時点で未定であったものが、開催を決定し、委員 を選定して承諾を得、日程調整をして同月19日には検討会を開 催するというのは常識的には不可能です。
この首相答弁自体虚偽の答弁であったという疑念を抱かざるを 得ません。
このような貴省の対応には、今般の「検討会」は、あらかじめ 基準切り下げという結論を決め、形式を整えるためのおざなり な審議を予定しているため、この問題に関心を持つ市民の眼に なるだけ触れないようにして、気づかれないうちに決めてしま おうという姑息な魂胆が透けて見えるといわざるをえません。

衆人監視の中での徹底した慎重審議を求める
格差と貧困の拡大の中で多くの市民が苦しんでいる最中、生活 保護基準を切り下げることは、到底容認できません。検討会の 審議内容が市民やマスコミに公開されるべきことは当然のこと 、広く市民の意見を求めたうえで、生活保護制度利用者の声を 十分に聴取し、「最初に結論ありき」ではなく、低所得にあえ ぐ市民の実態を踏まえた徹底した慎重審議がなされなければな りません。
この「検討会」を契機として貴省が保護基準の切り下げに踏み 込むのであれば、私たちは、考えられるあらゆる手段をもって これに立ち向かう所存であることをここに表明します。                    

以 上  


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