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LNJ Logo JR東日本株主総会〜株主提案で会社の経営姿勢を質す
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*以下は「ともにGO!に」ホームページに発表された鉄建公団訴訟原告・株主会のレポートです。(編集部)

JR東日本定時株主総会

株主提案で設立20年の経営施策を質す

 6月22日午前10時、東京千代田区にあるホテルニューオータニに於いて、東日本旅客鉄道株式会社第20回定時株主総会が開催された。

 株主会は、あくまで個人株主としての権利に基づき、株主総会の場で何よりも大切なJR東日本会社の安全と経営の民主化、そして労使紛争の全面解決を求めて取り組みを進めてきた。昨年の株主総会に見られたような横暴な議事運営のあり方、株主個人としての権利行使の保障、労働組合への支配介入という不法行為を引き起こしているJR東日本会社に対して、会社法で定められている株主提案権の行使をおこない、安全で安心して利用できる公共交通として、開かれたJR東日本会社の経営施策の改善を求めることとした。          

 株主提案権行使には300単元の株式数が必要であり、原告自らが株式の取得と共に、昨年末からは個人株主の皆さんに株主提案権行使請求に伴う委任状への協力要請を行なった。その結果、308個人427単元(総株数)の皆さんから協力を得ることができ、最終的には会社法の要件を満たす361株数の請求によって、定款変更を含む8項目の議案提案を行い、総会決議事項として株主総会招集通知書に記載され、すべての株主に株主提案内容が周知される事になった。併せて、各議案に対する取締役会の反対意見への再質問を含めた事前質問状を提出し、総会会場において誠意ある具体的回答を求めることとし、総会当日を迎えた。

 朝8時30分、JR四谷駅前に原告団上京行動参加者100名余りが集結した。前日から上京していた原告たちは、国土交通省前座込み行動に参加し、国家賠償請求裁判判決の傍聴とあわただしく行動を展開していた。当日の行動は、道行くJR利用者にチラシを渡し、JR東日本株主総会についてのアピールから始まった。9時から集まってくれた首都圏連絡会を始めとする支援の仲間に宣伝行動をバトンタッチし順次会場入りした。

 会場内には、株主席周囲を取り囲むように黒ずくめの警備担当がズラッと並び、ひな壇に一番近い最前列には、早々と会社動員と思われる200名近い社員株主が前3列を陣取り、清野社長ほか取締役席を厳重にガードしていた。ひな壇は、ステージ上にさらに演壇を積み上げて作ってある。演壇の前には数多くの生花が配置され、演壇には手も届かない状態である。昨年の設営では、演壇の前に通路があり少しはオープン感覚もあったが、今年はそのスペースはまったく無く、椅子を2列に並べ通路を塞ぎ端から端までギッシリ並べてあった。

 開会時間の10時になると取締役を先頭に役員が入場し、最後尾の清野社長が議長席に着くと議事が始まった。ここでも例年と違うのは、いつもなら役員登壇時の会場割れんばかりの一斉拍手はなく、なぜか粛々とご入場し滞りなく済んでしまった。

 社長からの議事提案は、会社側の報告事項と事前質問状に対する一括答弁を行った後、会社提案と株主提案議題は一括審議とする旨の説明が行われた。

 株主会として提出していた事前質問には、株主提案に対する会社の反対意見への再質問を始め、コンプライアンス・安全・旅客サービス・財務問題に関する4項目の具体的事実に基づく質問を提出していたが、これに対する小暮常務からの答弁はまことに不誠実極まりない内容に終始していた。例えば「第三セクターの経営難に対する助成処置は必要性が無く、地元と引き継いだ会社がやるべきもの」と切って捨てる。グリーン車の料金が乗車前と乗車後の購入金額では差がある問題には「公平感から差をつけている」と理解できない解答で済ます。王子駅の「営業時間変更」に対し北区議会の決議が提出されているにも拘らず「地元と十分に相談し検討してきた」と述べる始末で、全く説明義務をはたしていなかった。

この後に、会社議案4項目と株主提案1項目の一括提案の承認を議長が求めたが、それに答える社員株主の「意義ナーシ」コールはさすがに訓練のものであろう。一般株主に対する野次や怒号での威圧は影を潜めたものの、「発声」による承認行為にその全勢力を集中させていたようである。この段階で、議事進行に関わる「動議」を求めていたが認められることなく議案説明が始まった。議長は、質問時間は一人3分と質問は3項目までとの制限を付けて議事を進めようとした。再度、議事については、株主の声にこたえる総会として質問者全員の発言を認め、時間・項目制限をやめるよう動議で求めたが、議長の否決答弁に、またまた社員株主の「賛セー」コールと横暴な議長采配で押し切ってしまった。

 株主会の山口会長からの第11号議案の趣旨説明が終了し、議案に対する一括質疑が始まり質疑が4名ほど続いた。その後に質問に立った女性の株主から会社の不誠実な対応が明らかにされた。その内容は、JR関連会社である「河童天国」と言う浴場施設利用時に転倒し複雑骨折の怪我を負った。きちんと対応してほしい。と質問がされた。これに対して議長は、発言を途中で遮り会社答弁を一方的に行い、まだ続いていた女性の質問を一方的に打ち切ってしまった。納得がいかなく、マイクの前を離れられない女性を放置したまま次の発言を認める議長に対し動議を求めた。

何回かのやり取りで、結局はその女性の再発言を認めたものの、議長采配の不手際は目に余るものがあった。ここでも議長解任を求めたが、あえなく否決された。スムーズな議事運営ができない社長は、株主の知る権利に応える義務と、お客様に対する「安全のさらに先にある安心」を感じてもらう態度とは程遠い。数年前にも発言を求め続けた株主を「暴力的に会場外に排除した」事もあり、女性の発言を打ち切り、排除されないよう、会場警備の威圧から原告株主がガードを続けた。

 この段階ですでに時計は12時30分を過ぎており、清野議長は提案議題の承認を社員株主の「賛セー」コールで一方的に行なった。

 いよいよ、我が株主会としての提案議題の趣旨説明が始まった。7議案の一括提案に7名の株主会の代表がそれぞれ趣旨説明に立った。その内容は、定款の拡張を求め株主総会の決議事項に「会社の労務政策に関する事項」を追加することで労務政策の是正を求めた。とくに、週刊現代でも取り上げられている「異常な労務政策」を是正させ「中立義務」を遵守することと、起因となっている20年前の1047名問題の解決の為に応分の解決金を負担すること。又、取締役報酬額上位5名の個別開示と、社外取締役選任の義務を求め、最高顧問・相談役等の削除と特別委員会として労務政策・安全監視委員会の設置を求めた。

さらに、不適切な対応の責任を取らせる為に取締役5名の解任を提案し、新たに、評論家の佐高信氏を始めとする学者・団体役員5名の取締役選任について提案を行った。JR東日本に対する追求は多岐にわたり、全員の趣旨説明に要した時間はおおよそ1時間15分、途中で発言の打ち切りを求める清野議長も、会社法に基づく株主提案を前に横暴な議事進行で乗り切ることはできなかった。

 株主提案議案に対する質疑はわずか3名しか認めることなく打ち切り、すべての議案をこれまた社員株主の「反ターイ」コールで否決し、不十分な答弁に対する再質問者や、一般質問を認められたわずか11名以外に発言を求める者、横暴な議事進行に対する動議を求める者たちの発言を封じ込め、一気に総会終了宣言を社員株主の「賛セー」コールで閉会まで突き進んでしまった。

 開始から此処まで約4時間30分、昨年までの所要時間はおおよそ2時間半程度と比べれば少し長くなっているが、株主の要望や意見に真摯に向き合い開かれた株主総会とは大きくかけ離れていた。

 株主提案権行使により、会社法に基づく総会運営を強いられるJR東日本会社は、株主代表訴訟も視野に入れた対応を余儀なくされたことは明確で、議長采配ミスからの修正も余儀なくされ発言打ち切り者の再質問を認めたこと、緊急動議に対する対応も一定の配慮を行うなど、節々で一方的で横暴な議事運営を阻むことが出来た。準備していた事前質問を始め具体的なJR内の安全問題や法令違反・異常な労務政策の実態、そして乗客へのサービス問題など、JR東日本会社内で起こるさまざまな問題で犠牲にされている人、怒りを感じている人の声を、総会の場で明らかにし、是正を迫るところまで押し込むことでは不十分さを残している。今後は法的な精査も含めてJRの経営姿勢を正す運動に継続したい。

 今回の株主総会に向けて株主名簿閲覧を行い、約300名の個人株主(10株保有者)に対しても郵送で呼びかけを行った。株主会としての提案議案への賛同をお願いし、議決権行使に伴う委任状提出への協力を依頼したところ、総数で5名もの株主から賛同協力の委任状が返送されてきた。率にすると約1.7%に及び、仮に全株主数の286、998名すべての方に要請できたとすれば、実に4、948名の株主からの賛同を得られる可能性があると言うことになる。

 株主会の取り組みに対する期待が、多くの株主と利用者、そしてJRで働き苦しめられている労働者から寄せられていることをひしひしと感じている。この重みをJR東日本会社に知らしめる活動につなげて行くことが、その負託に応える事になると思いを新たにした。


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