クビまであと1年か・・頭をよぎる(根津公子) | |||||||
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根津公子です。
今日(3月19日)の報告を簡単にします。 朝勤務開始前に私の気持ちをしたためたものを職員の机上に置き、あるいは手渡した(下に掲載)。 職員会議で訊いても何も答えなかった校長が、今朝8時25分に職務命令を私にだけ出しました。校長室に呼んで。まず口頭で言い、次に職務命令書を受け取れと言った。私は、教育の条理に照らして職務命令が職務命令として有効なのかを訊いたのだけれど、校長は「職務命令、命令」としか繰り返さない。「9.21判決はご存じですね。第二東京弁護士会および日本弁護士連合会が根津について処分しないことと都教委に警告書を出していることもご存知でしょうね」と訊くが、校長は答えない。そこで、私は「説明もされず、有効ではないかもしれない職務命令書をもらうことはできません」と言って退室した。 9時30分、卒業式が始まった。司会の「国歌斉唱」との発声で私は着席した。 私の着席を副校長が私の右後ろで現認し、注意すること2回。卒業式が終わると、次は校庭に出て、「見送り」になるのだが、その間に、要するに卒業式は続いている中を職員室に来た私を待ち構えていたかのように、私の席に校長・副校長が連れ立ってきて、着席行為の確認をした。この人たち何考えてるんだ!と2人に対し、私は今さらでもないが、あきれた。 午後は市教委指導課長が私を事情聴取。 この学校は、卒業式の間中、3年以外の教員たちはほとんどが職員席についていない。見ると、後方の壁にくっついている人がかなりいた。1.2年生の生徒は代表参加なので、「生徒指導」の必要もないのにだ。 職員席に着く必要などないのだからそれでいいのだけれど、指導課長には、「自席にいない人には職務命令が出ていないから処分はないんですか?それとも自席にいなければ処分はしないんですか?私にだけ職務命令を出すのは、あるいは出させたのは、どうしてなのですか?こういうやりかたって、まずいんじゃありません?」と言ったが、校長も市教委も、30日の処分発令に向って動きを止めることはないだろう。 クビまであと1年か・・・と、やはり頭をよぎるのは、仕方ないか。 雑駁ですが、ご報告まで。 ―――――――――――――――――――――― <以下は卒業式の当日、根津さんが教職員に配布したものです> 鶴川二中教職員の皆さま 「国歌斉唱」とその不起立について聴いていただきたく、熱の下がらない中、書きます。 先週の沖縄タイムスが「生徒が主役 伝統守る」との見出しで感動的な卒業式を報じていました。那覇市立小禄中学校では、「舞台上で、厳粛に証書を渡したい」と言う校長に生徒たちは自分の考えをきちんと伝え行動しました。アンケートをとり、全校集会で校長に意見を述べ、そうして前日、対面式卒業式を勝ち取りました。当の生徒たちが「みんなの気持ちが一つになった」と喜ぶだけでなく、教員は「校長が決めたことがひっくり返るなんて夢にも思わなかった」「普段目立たない生徒まで、きちんと意見を言っていた。・・・感動した」と生徒から教えられ、保護者は「子どもが意見を出し、学校が尊重してくれた。鳥肌が立つほどうれしかった」とすでに失われてしまった“学校への信頼”を述べています。 この記事を読んで私の胸も高鳴り、かつてを想い起こしていました。生徒も教員も一緒になって意見を出し合い、民主的討議を経た上でつくり上げた卒業式。その中で、生徒たちは確実に大きなものを学んでいきました。東京の学校にも記事中のよき伝統がありました。町田地区もそうだったと聞いています。しかし、石原教育行政において、とりわけ10・23通達及び市教委通達によって今や、それは完全に破壊されました。沖縄が文部省から徹底的に介入・攻撃されたのは1980年代後半。それでも希望に繋がるこのようなことが起きました。東京でも、諦めずに“教育”を求めていきたいものです。 ◆私は今日も起立はできません 都・市教委が進める「日の丸・君が代」は教育行為に反し、教育を破壊することだと思います。「日の丸・君が代」について生徒が考え意見形成できる資料を提示せず、機会を提供せずに、起立・斉唱を指示することは、調教に他なりませんし、子どもたちを戦争に駆り立てた戦前の軍国主義教育と同じです。また不服従の教員を処分することで徹底させるこの強制の仕方は、生徒たちに「命令には考えずに従え」「長いものには巻かれよ」と教えるようなものです。私は生徒たちが自分の頭で考え判断できる人に、「真理と平和を希求する」(改定前の教育基本法)人になってほしいと願い、仕事に当たってきたつもりです。ですから、私はこうした都教委に加担できません。 ◆憲法遵守で免職の覚悟をしなければならない? 権力におもねることの多い司法界ですが、9・21東京地裁判決は「教職員は起立し、斉唱する義務、ピアノ伴奏をする義務を負わない」と断じました。理由は、「通達は・・・教職員に対し一方的な理論や観念を生徒に教え込むことを強制するに等しい」から「教育基本法10条に違反し、憲法19条に対し、公共の福祉の観点から許容された制約を超える」とした、教育の条理に沿ったものでした。昨年10月に出された北海道人事委員会の裁決は、憲法19条違反に加え、「生徒も意見表明の機会を与えられるべきであり」それがないのは「子どもの権利条約違反である」と言及しました。また、この2月に出された「ピアノ伴奏拒否」の最高裁判決は不当な判決でしたが、裁判官の一人、藤田裁判官の「君が代斉唱に強く反対する信念を抱く者に、公的儀式での斉唱への協力を強制することが、当人の信念そのものへの直接的抑圧になる」との付帯意見がつきました。 ついでに言いますと、2月に第二東京弁護士会及び日本弁護士連合会が都教委に対して、「10・23通達を撤回すること。根津の処分を撤回すること。起立を強制しないこと。処分を科さないこと」の警告書を発しています。「ニュース23」で都知事と都知事選候補予定者と言われる二人が「日の丸・君が代」の強制について発言したそうです。インターネットから発言要旨を抜粋します。 都知事が「強制ではない。指導要綱に沿ってやっていること」と言ったことに対し、二人は、「日の丸・君が代を敬いましょう、これはいい。しかし、それをきかないと強制する、懲戒処分にするということが教育現場にまかりとおっていくと、教育現場に管理・管理が如実にあらわれてしまう。きわめてよくない例だ。子どもも先生の処分を見ている。そうすると教育現場は荒廃する。自由であるべき教育の場が、管理・管理ではとりかえしのつかないことになる。強制はすぐにやめるべきだ」「私が言いたいことは、強制によって子どもがなにを学ぶかです。おかしいと思ったら意見を言っていいんだということではなくて、強い人には黙っておこうということを学ぶことになってしまう。自由に議論できることが教育現場には大事なことです」。 意見はいろいろです。しかし、異論があることを処分で封じ込め、もの言わせなくする。その象徴がこの「君が代」処分です。そんな社会は怖いです。まさに治安維持法下、ファシズムです。教員の中で都教委のこのやり方に賛成する人はほとんどいないと思います。校長たちも賛成ばかりではないようです。多くの教職員がおかしいと思っていることが、学校の大事な課題・「厳粛な儀式に」とまことしやかに演出されるわけですが、それこそ、市民保護者生徒への背信行為・信用失墜行為ではありませんか。こうした都教委に私は、「ノー」を行動で示します。いま声をあげ、不起立をする教員がいなくなったら都教委は、さらに攻撃と管理を徹底してくるでしょう。 私は2年前の卒業式での体験で、もう自分に嘘をつくのはやめよう。おかしいことにはおかしいと言っていこうと決めました。治安維持法下では、生命の危険に晒されましたが、今はまだ生命の危険はないですし、56歳の私には養育義務もありませんから、懲戒免職になっても何とか生きてはいけます。だから、大して迷うことなく、この決断ができたのだと思います。将来があり、家庭責任がある若い人たち の分も声をあげたいと思っています。鶴川二中の教職員の皆さんに、私の気持ちと行動をご理解いただけたら幸いです。 2007年3月18日 根津 公子 Created by staff01. Last modified on 2007-03-20 12:17:15 Copyright: Default |