稲垣です。

日雇労働者の町、大阪・釜ヶ崎にある釜ヶ崎解放会館には、雇用保険や生活保護の必要性から住民登録している労働者が約3300人います。大阪市は3月2日をもってこの３０００人の住民登録を消除しようとしています。

昨年末「大阪・釜ヶ崎のある雑居ビルで3300人もの住民登録がされている、怪しい」という読売新聞の報道が発端でした。雑居ビルとは解放会館のことで、いかにも犯罪のにおいを漂わせるような雰囲気の記事でした。メディアで騒がれた大阪市は、労働者達の住民登録を消除することを決定しました。

※ちなみに3300人登録情報は仲間内の犯罪に対するメディアの注目をそらすために京都府警がリークしたものです。（http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20061212-129524.html）

この決定に対して釜ヶ崎の労働者達は「消除はやめて」と連日の抗議行動を行っています。


しかし解放会館は30年にもわたって、全国から釜ヶ崎にやってきた日雇い労働者たちが、日雇い労働者の雇用保険の適用を受けたり、また生活保護を受ける際に必要な住所として、地域に無くてはならないものとして存在してきました。釜ヶ崎の労働者宛に、ふるさとから届く手紙や役所からの書類なども、届けられてきました。日雇い労働者は、ドヤとよばれる日払いの簡易宿泊所で寝泊りする人も多いのですが、そこでの住民登録は、西成区は認めておらず、またとどいた手紙なども必ず預かってくれるとはかぎならないことから、釜ヶ崎解放会館は地域の労働者にとってなくてはならない存在でした。

これまで西成区は、生活保護申請に来た労働者に対して、解放会館での住民登録をすすめてきた経緯もあります。また20年（だったかな？）1日も休むことなく行われてきた炊き出し活動の拠点にもなっています。（先日訪れたときもたくさんの人が炊き出しに並んでいました）。

その後も、釜ヶ崎解放会館や地域住民の「消除はやめて」の抗議行動や総務省・厚生労働省要請行動などを続けてきましたが、西成区役所/大阪市は３月２日にも住民票消除の意向をかえてはいません。

2月26日には抗議のデモと市役所前での座り込みが行われ、今日２７日も抗議の座り込みが行われ、明日以降も座り込みを行い、消除予定の3/2まで連日の抗議の座り込みを行う予定です。

8時〜　淀屋橋情宣
10時〜　市役所前座り込み/難波・天王寺など各地への情宣活動
16時〜　市役所前共同炊事　映画上映など
※スケジュールについては下記【激励先】までお問い合わせを。
※3月2日は朝八時より市役所前にて終日の抗議行動を行う予定

また消除は３ヶ月さかのぼって行う＝四月の統一地方選での選挙権がなくなる＝というひどい話です。釜ヶ崎の労働者には民主主義の最低限の権利である（被）選挙権すら認めない、ということです。住民票は最低限度の生活を保障する生活保護の申請や日雇という不安定な雇用を保障する日雇雇用保険の需給にとって必要なものでした。住民票の消除は、生活権、労働権、そして（被）選挙権すべてを奪う行為です。

釜ヶ崎現地の仲間達は、日々連日の座り込みやデモなどで情報を発信することもままならない状況です。みなさんからの支援・激励のメッセージおよび大阪市へ抗議のメッセージを寄せてください。お願いします。

【激励】
・釜ヶ崎地域合同労働組合・釜ヶ崎炊き出しの会
　大阪市西成区萩之茶屋２─５─２３　釜ヶ崎解放会館
　電話・０６─６６３１─７４６０
　ファックス・０６─６６３１─７４９０

・失業と野宿を考える実行委員会（失野実）
　大阪市西成区太子２─１─２　釜ヶ崎医療連絡会議内
　電話・ファックス０６─６６４７─８２７８

【抗議】
▽西成区役所住民情報課（辻元課長代理）　電話・０６─６６５９─９７８８
▽大阪市役所・市民局　電話・０６─６２０８─７３１１
　 　　　　　　　　　　ＦＡＸ・０６−６２０２─７０７３
▽大阪市役所・市長室秘書課　電話・０６−６２０８−７２３１
　　　　　　　　　　　　　　ＦＡＸ・０６−６２０２−６９５０
▽大阪市ホームページ（「市民の声」）…市役所にメールが出せます
　　　http://www.city.osaka.jp/shimin/opinion/index.html

（参考）
釜ヶ崎・住民票問題の本質を問う
　http://www.janjan.jp/living/0701/0701107862/1.php
大阪・釜ヶ崎の住民登録削除に反発強まる
　http://www.janjan.jp/living/0701/0701248776/1.php

-------（以下、毎日新聞より）--------
あいりん住民登録問題：労働者や支援者ら、抗議の座り込み／大阪
2月27日16時1分配信 毎日新聞
　大阪市西成区の「あいりん地区」にある「釜ケ崎解放会館」など日雇い労働者支援組織の３施設に約２７００人が住民登録している問題で、２６日、デモ行進を行った労働者や支援者らは大阪市役所前での抗議の座り込みを夕方まで続けた。居住実態のある場所を届け出ない場合、３月２日にも登録を抹消する方針の市に対し、２日まで市役所前で抗議を続ける予定だ。
　この日は住民票抹消の中止や、抹消した場合の代わりの住民登録場所を示すよう求める申し入れ書も市側に提出した。
　抗議に参加した日雇い労働者の男性（５６）は「いろんな建設現場に行って一カ所に住めないので、『解放会館』に住民票を置いている。市は長年の慣行をこんな短期間で排除するのか」と反発。１年前に住民票を抹消されたという無職男性（６７）も「借金取りに追われないように『解放会館』に住民登録していたが、居住実態がないとの理由で一方的に削除された。選挙権などがなくなり、仲間が同じ目に遭うのは許せない」と語った。
　支援者ら約２０人は、市役所近くの中之島公園で野宿し、署名活動や座り込みなどを続けるという。【犬飼直幸】
２月２７日朝刊

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