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「スピード感ある経営」で労働者は奴隷にされる〜総会二部報告
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佐々木です。

レイバーネット総会第二部は、「労働法制〜何が変わるのか」というテーマで全 労働中執で労働基準監督官(前)の丹野弘さんと「共同アピール運動」事務局の 岡本哲文さんからお話を伺いました。簡単な報告です。

丹野さんは、周到なレジュメをもとに労働法制の見直し・改悪のネライと今国会 審議予定の労働関係法案の問題点を指摘した。

経営側は、国際競争の激化のなかで、スピード感のある経営を展開するため、雇 用量や労働条件変更の柔軟化・迅速化、労働コストの徹底的な圧縮を求めている。 こうした背景のもと、派遣労働の規制撤廃や、雇用者の契約労働・個人請負・フ リーランスへの転換強要、就業規則による一方的かつ迅速な労働条件変更(固定 的賃金から成果主義賃金への転換促進、事業拠点見直しなどに伴う労働者の再配 置)、解雇の金銭解決、ホワイトカラー・エグゼンプションなどの法制化が矢継 ぎ早に打ち出されている。

労働契約法では、「合理的な労働条件を定めた就業規則が、労働者に周知されて いれば、就業規則の記載事項をもって労働契約の具体的内容とする」とうたわれ ているが、「合理的な労働条件」は裁判で争われると否定される判決が多い。 「合理的」という表現はきわめて問題だ。また就業規則の変更も、「合理的であ れば・・・変更後の就業規則の内容が就業規則となる」としていて、この「合理 的」も経営側からみた合理性にすぎない。経営側は、就業規則を労働契約とする ことにより、スピード経営のための「ごりおしできるシステム」を作ろうとして いる。 続いて報告では、労働基準法(ホワイトカラー・エグゼンプションを含む)関係 法案、最賃法、パートタイム労働法のなどの問題点が説明された。

最後に丹野さんは、今国会でホワイトカラー・エグゼンプション法案の上程は見 送られたが、秋の臨時国会も見据えていずれすべての法案の通過が狙われている。 現実化のひとつのメルクマールはこれらの課題が6月に予定されている経済財政 諮問会議の『骨太方針2007』にのるかどうかにある。運動側はそれを意識してこ れからの動きを作っていく必要があると語った。

岡本さんは、日本版エグゼンプションの撤廃を求めた「共同アピール運動」の経 過を披露した。統一行動日をもうけ時計のパフォーマンスを考えたり、mixiのコ ミュニティに反エグゼンプション支部を作って一緒に行動したりと新しい行動ス タイルを模索してきたことが運動の広がりにつながったことがよくわかる報告だっ た。

お二人の話から、新自由主義経済の下で、資本は「スピード経営」という言葉ど おり簡単に労働条件を切り下げ、労働者を解雇し、不安定雇用をさらに増大させ ようと今回の労働法制全面改悪を迫ってきたことがよくわかった。このままでは 労働者は奴隷にも等しい存在になってしまう。エグゼンプションが問題だ、いや 労働契約法がさらに深刻と様々な論議がされているが、わたしたちはこの「労働 ビッグバン」を資本総体の攻撃として受け止め、労働組合はもちろん、それに所 属しない大多数の労働者と一緒に反撃しなければこれを止めることはできないだろ う。そのためには、この攻撃をしかけているのが誰なのか、そのネライは何かを 具体的にわかりやすい言葉で表現することがまず必要ではないだろうか。御手洗 経団連会長の「希望の国、日本」(御手洗ビジョン)は労働者の地獄だという ことを。


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