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LNJ Logo 鉄建公団訴訟第1回控訴審〜圧倒的迫力で不当労働行為を告発
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特急たから@千葉です。


↑公判終了後、裁判所前でシュプレヒコール

本日(11月20日)、鉄建公団訴訟第1回控訴審の傍聴に行ってきました。 昨年9月15日の東京地裁判決から1年余り…今日が控訴審の事実上のスタートになる大事な日です 。 今日は、原告側の意見陳述ということで、原告側弁護士4名が意見を述べた後、音威子府闘争団の藤 保文夫さん、仙台闘争団の佐藤昭一さんの2人が原告として法廷に立ちました。以下、その内容を報 告します。

まず、清水弁護士が、「1審判決は、不当労働行為が明白であるにもかかわらず、少数派組合と多 数派組合との間の中立原則を破った。多くの国民が、誰のための司法なのかと疑念を抱いている。司 法に対する信頼を失墜させた責任は大きい」と1審判決の問題点を指摘。「JR北海道は地労委とい う家を土足で駆け抜け逃走した。これは地労委始まって以来の不祥事といえるのではないだろうか。 …なぜ、かくも堂々とJR北海道が地労委の救済命令を破ることができたのか考えるところ、JRが 単なる一民間企業でなく、背後に国家という権力が控えていたからだと考えざるを得ない」という北 海道地方労働委員会関係者の発言を引きながら、JR・政府の姿勢を批判。「事実としての不当労働 行為は消えることはない。我々はそれを行った者に責任を取らせなければならない」と原告としての 基本姿勢を改めて明らかにしました。


↑夜の報告集会

続いて、萩尾弁護士が同様に1審判決の問題点を指摘。「1審判決が認定した損害賠償は不当労働 行為に対するものではなく、JRに採用されるかもしれないという“期待権”の侵害に対するものだ った。しかし、被解雇者が侵害されたのは単なる期待権などではない。まさに原告は20年近く、生 活に呻吟してきたのである」と国家的不当労働行為の犯罪性を強くアピールしました。

佐藤昭夫弁護士は、1審判決で損害賠償も認められず、“全面敗訴”となった5人の原告に関する 政府の行為について、堂々と反論を展開しました。「(1審判決が“明確な採用基準”に従っていた のだから解雇は有効、としたことに対し)採用基準が明確であることと公正であることは当然、別問 題である。差別の存在は地労委の救済命令でも認められているほか、当の1審判決でも認められてお り、請求を棄却した判決は間違いである」。また、佐久間忠夫さんが55歳を超えていることを理由 に不採用となったことについても、「鉄道業務は経験による熟練が何よりも必要とされる業務であり 、だからこそ国鉄には事実上定年制がなく60歳退職が通例となっていた」ことを指摘、「55歳以 下に限るという採用条件は、豊富な業務経験によって職場のまとめ役となっていた熟練労働者を、技 術の継承の必要性に背いてまで排除しようとするものであり、不当である」と述べました。

加藤弁護士は、「国鉄分割民営化の際の解雇は民間企業でもはばかられるような不当なもの」であ るとした上で、「(被告・運輸機構側は)ストを連発するなど当局に非協力的だったから国労組合員 は解雇されても仕方がないと主張しているが、国鉄のスト権が制限されていたのはその業務の重要性 ・公共性のためである。その公共性を破壊する民営化をみずから推進してきた者たちが、国鉄の公共 性を守るために行った労働者のストに対し、処分を行うなど許されるはずがない」と、これも当然の 主張でした。

原告として最初に証言にたったのは藤保さん。「駅勤務時代、家にいるときも旅客業務について勉 強をしていた。優秀職員として実名で表彰されたこともある。駅員さんのおかげでいい旅行ができた 、とお客様に言われることが誇りだった。新会社への採否が決定される2日前の87年2月14日、 要職に就いていたおじから『次の配属先も決定している。国労を抜ければ採用される。あと1日時間 をやるからよく考えろ』と言われたが、絶対に採用される自信があったから脱退しなかった。2月1 6日、不採用と聞いたとき真っ白になった。生活は苦しさを増し、子供はお菓子を食べることすら我 慢していたそうで、辛い思いをさせた。清算事業団に送られたが、毎日ビデオ鑑賞ばかりで、“極道 の妻たち”を見せられたときは焦った」と“再就職斡旋”の驚くべき事実を明らかにしました(法廷 内に失笑が漏れる)。

「広域採用を打診されたときは悩んだが、妻の親が病気であったために断念せざるを得なかった。 今も鉄道業務に戻りたいという気持ちに変わりはない。裁判官の公正な判断をお願いしたい」と結び ました。

佐藤昭一さんは、淡々と事実を基に解雇の不当性を訴えました。「宮城では処分歴のある者が3名 採用されているが、そのうち1人は女子高生へのハレンチ行為で停職処分を受けた者であり、残る2 人は酒気帯び運転で停職処分を受けている。しかし、酒気帯びの2人は鉄労[注:鉄道労働組合。分 割民営賛成派組合]であり、ハレンチ行為の者は国労だったが、のち脱退して鉄労に移ったために採 用となっている。当局は、採用基準にさまざまな“特例”を設けていたが、(分割民営に反対から賛 成へ“転向”した)動労組合員を救済するために、昭和58年4月1日以降の処分については不問と する特例も設けられた」と当局の「恣意的運用」を糾弾しました。

藤保さんと佐藤さん…おふたりは、私から見れば正反対のタイプであるように見えました。切々と 情に訴える藤保さんに対し、ひとつひとつ客観的に事実を積み重ねて陳述する佐藤さん。そのおふた りがうまく補完し合い、見事なアピール力を発揮したと思います。

この後、ビデオプレス制作のビデオ「国鉄改革の真相」が証拠採用され、法廷で上映。中曽根元首 相が「国労を潰せば総評が潰れ、総評が潰れれば社会党が潰れる。そういうことを意識して、(国鉄 民営化を)一念でやった」と臆面もなく語るNHKテレビの映像や、清算事業団に事務員の求人があ ったとき「共産党、社会党はだめだ。そういう色に染まっていなくて、できれば30歳以下がいい」 などと露骨な思想差別をする管理者発言、また「あんなハゲ誰が採用するんだ」などと管理者が暴言 を吐くシーンなど、あきれた清算事業団の実態が裁判長の前で放映されました。白昼堂々行われた不 当労働行為に対し、裁判長の眼前で白昼堂々の「告発」です。


↑夜の報告集会〜壇上に上がった闘争団

最後に、被告(鉄建公団、現・運輸機構)の反論がありましたが、発言に立った被告側弁護士は、 時効論や「国是論」(国労組合員は国労に従い、違法ストを乱発して分割民営化という国是に反対し たのだから差別されても仕方がない、という珍理論)を持ち出すばかり。原稿「棒読み」で覇気もな ければ迫力もなく、もちろん面白くもおかしくもありません。 霞ヶ関のお役人の世界では、長くて退屈なため聞いている人たちが居眠りしてしまう法律案の国会説 明のことを「お経読み」と言うそうですが、この被告側弁護士の姿はまさに「お経読み」という表現 がふさわしいと思います。ついでに言えば、そのお粗末な「国是論」にしても、「公共性を破壊する 民営化をみずから推進してきた者たちが、国鉄の公共性を守るために行った労働者のストに対し、処 分を行うなど許されるはずがない」という加藤弁護士の発言で完全に論破されてるんですが??  「処分歴のある者が採用されないのは当然としても、単に処分歴がないことをもって当然に採用され るというものではない」と言ってみたり、「なぜJRと清算事業団を同時並行で訴えなかったのか」 と責任を原告に転嫁してみたり。

「国鉄改革(の意義)を理解して、未来の鉄道事業の発展のために協力した他労組と比べ、協力し なかった国労組合員が勤務成績を劣位に位置づけられたとしても当然」という被告側の主張は根拠の ないお粗末なものですが、それでもこの発言は聞き捨てなりません。「工事のたびに線路陥没だらけ 、レール破断日常茶飯事でまともに列車を走らせることも復旧させることもできないJR東日本」、 「駅員がいても切符のひとつもロクに発券できないJR東海」、「大事故を何度も起こしながら引責 辞任した役員を性懲りもなく子会社へ天下りさせるJR西日本」はすべて君たちの言う「不良社員( =国労組合員)」とやらを切り捨てた結果なんじゃないの? 切り捨てられた人たちが、君たちの言 うように「不良社員」なら、いまのこのさんざんな状態は誰のせいなの? このさんざんな状態のど こが「未来の鉄道事業の発展」なのか、説明してもらいたいもんです。

「(原告団員らが)違法ストなどの非違行為を繰り返した」という主張も乱暴そのもの。いつ、誰 が、どこで、どのようにして非違行為を行ったのか、具体的な事実も明らかにせず決めつけるのは事 実認定ではなく単なるレッテル貼りに過ぎません。

裁判終了後の報告集会では、加藤弁護士から「まずは順調な滑り出し」とのお話がありました。そ のように評価して差し支えないと私も思います。少なくとも今日の法廷を見る限り、原告側は被告側 を文字通り圧倒していたことは間違いないと思います。 しかし、彼我の力関係が反映するのが裁判所。法廷というところは正しいだけでは勝てない場所であ ることも認識しておかなければなりません。原告に1審以上の成果をもたらすには裁判所を包囲する 運動の盛り上がりがいま以上に必要だと思います。

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特急たから aichi200410@yahoo.co.jp

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