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フランス反CPE闘争の原動力は何だったのか
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佐々木です。

フランス社会運動研究家でレイバーネット会員でもある湯川順夫さんが、『情況』 06年5/6月号に「フランスCPE反対闘争の勝利は何を意味するか?」のタ イトルで今回のCPE反対闘争について詳しい分析をしています。レイバーネッ ト例会でのエルワン・ケレンさんの報告からは、学生の闘いを発火点にしたこの 運動のダイナミズムを強く印象づけられましたが、今回の湯川さんの分析では、 全国的な闘いがどのような組織形態で牽引されていったのかを具体的に知ること ができました。

湯川さんによれば、大衆運動を発展させる原動力となったのはAG=総会(職場 の労働者なら誰もが参加できる「職場総会」、その学生版のキャンパス学部ごと の「学生総会」、各高校の「生徒総会」)で、それは直接民主主義の闘争機関と して闘いについてのいっさいを決定し実行する。そしてこれが闘いを深く大衆化 するための縦の機関であるなら、闘いを横に、地域や全国に広げたのが共闘会議 という組織だったということです。こうしたAGと共闘会議が、職場、キャンパ ス、高校の大衆動員と、三者のまれにみる地区・全国での共闘を作り出したとの こと。そして闘いに消極的だった左派政党やナショナルセンターを巻き込みあの 大勝利に結びつきました。その時、既存の学生団体であった社会党指導下のフラ ンス全学連などは現場での影響力を持てなかったというのも示唆的です。フラン スではこうした形態での闘いが、労組・政党が右傾化し新自由主義路線と闘えな くなった80年代から頻繁に登場してきているそうです。

運動の高揚の中で直接民主主義的な大衆的闘争機関が生まれそれが運動を牽引し ていくというのは、ロシア革命時のソヴィエトやドイツの労働者・兵士評議会を はじめ、日本の全共闘運動もそのひとつだったと思いますが、フランスの今回の CPE反対闘争がそうした枠組みの中で闘われたということは、やはりフランス 社会深部の大きなうねりのようなものを感じさせます。そして同じ新自由主義に 席巻されている世界全体が時間の差はあれ、こうした動きに共振していくのは不 可避だとも思えます。すでにラテンアメリカでは新自由主義に反対する政権が続 々と生まれていますし、例会でエルワンさんが「フランスだけが例外ではない」 と言っていたことが印象深く思いだされます。


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