過労死社会はごめん! 市民と労働者が手をつなぐ | |
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11月12日、埼玉県越谷市内で「地域から郵便局を考える会」結成の集いが開催された。越谷郵便局は全国に先駆けて「トヨタ方式」が導入されたが、昨年5月「過労死」が発生している。この日は、地域の住民と郵政労働者を中心に約200名が集まった。主催者の予想を大きくこえる結集だった。暉峻淑子さん(写真)は「豊かさとは何か」をテーマに記念講演を行い、「経済は人々を幸せにするためのものなのに、実際は人々を踏みつぶしている。このままでは日本は滅びる。ともに声を上げよう」と訴えた。 暉峻淑子さんは、わかりやすいことばで、働くことが社会の基本であり、その働き方がおかしくなっている日本の社会のあり方を鋭く批判した。「効率・競争で経済が成長すれば国民に還元される、というイメージが作られているが、実際にはそうなっていない。貧富の格差は、経済成長とは逆に拡がる一方で、現在は70倍の格差に開いている。だまされてはいけない」。「考えることを放棄して強い人に判断をお預けする人たちが増えている。その結果が、先日の総選挙にあらわれた。こうした状況をみると暗い気持ちになるが、きょうのように一人の過労死を考える人々がこれだけ集まったことに、まだまだ希望を感じる」と述べた。 昨年亡くなった越谷局のAさんは、集配の職員でスポーツを愛好するなど健康な人だった。しかし、トヨタ方式が導入されてから、サービス残業が日常化し「疲れた。いくらやっても終わらない」と体調不良を訴えていた。2004年5月18日、脳梗塞で倒れ翌日死亡した。36歳の若さだった。「死人をつくったトヨタ方式」と遺族(母)は集会へのメッセージで訴えていた。現在、労災認定を申請中である。 集いでは、越谷郵便局の職場の実態も紹介された。15分刻みの配達管理、ミスをしたら謝罪放送を強いられるなど、郵便労働者が置かれているプレッシャーは、JR西日本で事故の引き金をひいた高見運転士の心理状況に通じるものがあった。 地域に暮らす人は、「元旦に年賀状が届かなかったのには驚いた。郵便ポストの集荷が一日3回あったのが、1回に減らされた。住民が少ない地域なので効率化のため減らされたとの理由だが、同じ80円切手の重さに差があるのはおかしい」と語った。 民営化がもたらすものは、労働者への一層の過重労働であり、住民に対してはサービス低下だった。こうした問題に、市民と労働者が一体となって取り組みはじめた越谷の試みは、非常に貴重なものだろう。実際、この集いの動向に越谷局の幹部は神経をとがらせ、主催者側にさまざまな打診があったと聞く。かれらが何より恐れていることが、労働者と市民・利用者が結びつくことなのだ。(M記者) Created by staff01. Last modified on 2005-11-13 13:51:13 Copyright: Default |