商売人の良心
「物販締め切りを8月2日へ延長!ご協力を!」と題しての“素晴らしい”記事が、「4・28から」の最新7月号にあるので一部転載する(ホントは“素晴らし”くなんかないのだが、こんな記事は“素晴らしい”とでも書いとかないと誰も読んでくれない気がして、ついつい・・・)。
≪NO.37「ダイナモ発電ラジオ(災害時の必需品)5千円」が今夏初登場。乾電池が切れても手回し発電で、AM/FMラジオとライトと、それに他機種と違い携帯電話の充電もOK(「携帯電話の電話帳など登録データ消失の危険も。控えをとってからご利用を」との添え書きは「念のため」で、製造会社によれば「防御機能内蔵で今まで10万台売れたが一度も消失情報は聞いていない」とのこと)。
「通販生活」の「06年版ピカイチ事典」で激賞している商品と同じ会社の同じ製品(ただ、市販の外部充電電池・・・これの買い換えを続ければ充電電池の寿命がきてもへいっちゃら・・・等が「通販生活」では付属されているので、その分保証期間と価格の数字が上乗せされているだけの違いだ)。
4・28ネットではなく、かの「通販生活」が激賞しているのだから、皆さん安心してお買い求め下さい。いっぱい買って親戚や知人へ配りまくりましょう!≫
この記事、強いて“素晴らしい”所を探すとすれば、最後の「いっぱい買って親戚や知人〜」の一文だろう。もし暇があったら、この一文を何回も熟読してほしい。
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物販担当のボクとしては、カタログに新商品が登場すると一度は自分で買ってみるようにしている。餓鬼の頃は八百屋さんのお坊ちゃまだったので、両親から「商売人の良心」をそれなりに、ボクなりに、引き継いだのだった。どういう「良心」かというと、「良い物を安く」などと無理はせず、だけれども「悪い物を売ることだけはしない」という程度の「良心」だ。しかし、労働者に無理を強いてはリコールを繰り返すトヨタや、公共事業にとって無理な営業主義の下にコンプライアンス(法令遵守)逸脱を繰り返す郵政官僚よりも、八百屋さんの方がずっと「良心」的なのだった。
ダイナモ発電ラジオの説明書を読んで、ボクは2カ所でガクゼンとした。一つは「携帯電話の登録データ消失の危険」、もう一つは「内蔵蓄電池の寿命2〜5年」。これは商品購入者からクレームがくるかもと不安になったとき、「良心」的と評判の「通販生活」新刊の紹介文が追い打ちをかけた。この紹介文では「データ消失の危険」に触れていないし、「保証期間」も長い。これはてっきり改良型かなんかで、物販商品の方は改良前の在庫品かなんかではと疑ったのだった。UC(ユニオンセンター=物販業者)さんへも教えてあげて何か対策をとる必要があるかもと考え、その前に販売元の「久富電機産業kk」へ電話をしてみた。そしてその結果が、上記の「4.28から」の記事になった。メデタシ、メデタシ。
「久富電気」のおじさんは、察するに販売系ではなく技術系の人で、「交流電気を直流に変換〜5V以上は流れない構造〜データ消失危険の記載は念のため」と尋ねていないことまで含め親切に説明してくれ、「通販生活の人は徹底的に購入者の立場でね、調査したり討論したり云々」とも話してくれ、察するに、それで外部充電電池等を付属品に加えたりしたのだと思う。このおじさんも「良心」的な人だと感じた。
*「通販生活」は各商品ごとのエコロジー度などを載せ、商品申込書にも工夫がなされ、CO2削減のためトラック輸送を鉄道輸送に切替える等している。参考になるのではと、物販仲間の「協同倶楽部(闘う国労闘争団)」へ紹介したことがある。
*UCの社長さんは元争議団で物販をやっていて、それでUCを立ち上げた。UCの商品や発送作業・苦情処理等、ホントに「良心」的と思う。「大至急お届け」などの無理も気さくに堅実にやってくれ、UCの人たちにはとてもお世話になっている。「郵政クビ切り物語」の1月試写会を、わざわざ見に来てくれた。
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今回は11品も新商品なのに、4・28ネット事務局会議の場で「ダメダメ、継続商品は5品で他の35品は全部新しくするくらいでないと飽きられちゃってるよ」と、無理(?)を言う仲間もいる。郵便局利用者へも物販をたくさん売ってくれる御仁だ。郵便局利用者が物販に協力してくれるのは、彼が、郵政官僚天下り先会社を儲けさせるだけのイベント小包なんかは押し売りしない「良心」的な御仁だからだ。
名古屋哲一(郵政4・28免職者)
「郵政ユニオン九州地本機関紙」及び「大阪・吹田千里支部機関紙」にも掲載
*タイトルはレイバーネット編集部