小林たかしの談話室・第21回 | |||||||
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第21回・反原発デモへの過剰規制、なぜ?●さ お り◎9月19日の「さよなら原発」デモに行ってきたの。 ★オッチャン◇ほう、どうだった? ●さ お り◎すごい人だった。公園のなかは満員電車に乗っているみたいだったわ。 ★オッチャン◇オッチャンもむかしはよくデモをやっていたよ。 ●さ お り◎評論家の柄谷行人さんら3人が起草者になって、「《デモと広場の自由》のための共同声明」を出したの知ってる? 警察による反原発デモへの妨害と不当な逮捕への抗議声明であったけれど、デモの権利を強調してたわね。きちんと報道しないマスメディアにも反省を求めていたわ。 ★オッチャン◇11日の警察の意図的なデモ規制はハンパじゃなかったからね。 ●さ お り◎でもね、レイバーネットのメーリングリストに、9・19のデモ参加者からこんな通信もあったわ。「デモはAコースでした。デモ隊はなんども警察官に止められてなかなか進めません。嫌気がさして脱落する人たちも出てきました。そのとき、小型のメガフォンをもった外国人の女性が《日本の警察官はおかしい。デモを止めている。みんなをあきらめさせて帰そうとしている。みなさん、あきらめないでください》と、たどたどしい日本語でアピールしてくれたのです。それにはげまされて、私も隊列の人たちも元気を取り戻しました。警察の意図を的確に見抜き、それを知らせてデモを成功させようと行動したこの女性は、ほんとうにすばらしかったです」っていう報告なの。デモしていて、私もほんとに腹がたったわ。 ★オッチャン◇ほんとに警視庁はひどい……「東京都警」の警察官は最悪だ。トップが石原だからね。1989年の『朝日新聞』のコラムに、昭和天皇の「大喪の礼」のニュースを見て驚いた作家の橋本治がこんなことを書いていた。「新宿の歩道で《天皇制反対》を叫んだだけの人間が、警官に押さえつけられて口をふさがれていた。その若い男のふさがれた口からもれてくる言葉は《助けてくれ》だ。こんなことがあっていいの?…発言しただけの口が暴力でふさがれて、どうしてそれが大問題にならないんだろう? そのあと、日本で最大の発行部数を誇る大新聞の社説が《何事も起きないでほっとした》だぜ!…言論の自由を守るべき人間が…。なんて恐ろしい国なんだって、僕は本気でそれを憎んだ」。橋本は、「政治と宗教の分離」ばかり問題にしていた世論に疑問を感じて、「信教の自由」もいいけど他人と違うことを口にする「信条の自由」はどうなったの? ともいっていた。 ●さ お り◎日本では、反原発も脱原発も「あたりまえ」じゃないからね。上関の町長選も、反原発派は推進派の半分しか得票できなかったし、まだまだ道遠しね。でも、12人が理由なしに逮捕されたデモで柄谷行人さんは、「デモで社会を変えられるのか?とよく聞かれるが、《確実にできる》と私は答える。なぜか。デモをすることで《デモをする社会》をつくれるから」っていってたように、なんども繰りかえしデモをしていくしかないわね。たとえ警察に妨害されても。 ★オッチャン◇そうなんだ。時の政府は民衆の反抗や抵抗をつねに恐れる。それが非暴力の大衆的なデモであればよけいに恐れる。政府の権力者には、オトナシイ市民もデモをすれば、たちまち反政府過激派に見えてくるのさ。支配の妨げになるものは暴力的に排除するのが権力者の原則なんだ。政府が労働者政党であっても同じ――例外を期待してはいけない。カシコイ市民は、敵から水をもらえるなどと期待しない。 ●さ お り◎それって、なんかキビシすぎる見方じゃない。 ★オッチャン◇そんなことない。1929年のメーデーの日に、ドイツ社会民主党員の警視総監は、非武装のデモ隊に機関銃をあびせて25人を殺害したんだ。労働者政党の反労働者的な政策に絶望した民衆は、これ以降ナチスの反ユダヤ主義的大衆運動になびいていく。ナチスの綱領には、民族主義的政策だけでなく、国有化や公共化などの社会主義的政策もあったからね。 ●さ お り◎労働者政党の右傾化が、ナチスの独裁政治をまねいたのか。うーん、わたしもそうだけれど、市民はもっとカシコクならないとダメなのかな……。 【2011/10/01 通算25回目/転載・引用・援用など、すべて自由】 *この「小林たかしの談話室」シリーズはいったんお休みしますが、近々、新たな形で執筆する予定です。 Created bystaff01. Created on 2011-10-02 14:38:15 / Last modified on 2011-10-03 13:33:03 Copyright: Default |