小林たかしの談話室・第11回 | |
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第11回・反グローバル資本主義のうねり●さ お り◎ オッチャン、防衛省は3月31日、米軍普天間基地の移設予定地の名護市辺野古に「名護防衛事務所」を開設したらしいよ。それと、移設先の米軍キャンプ・シュワブでは、新しい建物の工事が進められていて、地元の人たちは反発しているという報道もあったけれど、どっちも、名護市民との合意なしでの移設を既成事実化する動きよね? 大震災と原発事故で、大きなダメージを受けているときに、これはひどすぎない! ★オッチャン◇ そうだね、自衛隊も第七艦隊も大忙しだと思っていたけど、火事場泥棒といってもいいくらいだね。日米両政府の既定方針なのだろうが、油断も隙もない。 ●さ お り◎ 米軍は、フランス軍とイギリス軍と共同でリビアのカダフィ政府軍を爆撃しているけれど、これも一方的でひどすぎない!? こんなにかんたんに軍隊が他国の領土を爆撃していいはずないよ。 ★オッチャン◇ 米仏英軍が反カダフィ勢力を支援するのも「ともだち作戦」のようににみえるけれど、まぎれもない武力介入だ。カダフィ後を考えての介入だし、多国籍軍は「漁夫の利」を狙ってるのだろう。「利」はもちろん油田の利権だ。多国籍軍を支えているのは、多国籍企業だからね。軍事介入をゆるした責任は、民衆の抵抗を武力弾圧したカダフィ政権にあるにしても、反政府勢力も「武器には武器を」ではなく、ストライキやデモンストレーションなどの非暴力行動をつづけてほしかったね。 ●さ お り◎ 去年のチュニジアの「ジャスミン革命」からはじまったアラブ諸国の民衆蜂起は、海をこえてアメリカのウィスコンシン州にまで波及して、全米各地で労働運動が活発になっているし、EU諸国じゃ大衆ストライキもつづいているよね。これを1968年前後の世界的な「政治の季節」と比較している評論家がいるのよ。「1968年は経済成長期の反乱だったが、いまは理念を求めるより、生存をかけた闘いだ」って……。 ★オッチャン◇ たしかに20世紀は経済成長の時代でもあったけれど、その恩恵を受けたのは世界の7分の1の人びとだけだった。いま全世界的規模で生存をかけた闘いがはじまっているけれど、40数年前も、第三世界の人たちは生存をかけた闘いを繰り広げていたんだ。20世紀の歴史をもう少しさかのぼれば、植民地主義が極大化した時代で、植民地支配の後遺症は、民族分断や民族対立だけでなく、宗教やジェンダーや教育などに、いまにいたっても残っている。 ●さ お り◎ そういう面もあったのね。べつの評論家は「グローバル資本主義への逆襲がはじまり、国家の枠をこえた世界中の市民が連帯する時代になる」といっているけれど、ほんとうかな? ★オッチャン◇ 資本主義は、第三世界はもちろん中国や旧社会主義国も飲みこんでしまい、貧富の差が極端にひろがり、各国の政治がうまくいかなくなっている。だからといって、最近の反政府運動が国際的に連帯した闘いになるかどうか……。そんなにかんたんでないと思うよ。国によって地域によって、政治や経済や文化も、民族や宗教や歴史もちがうし、それによって民衆の闘い方もちがってくる。多国籍企業や多国籍軍の介入の仕方もそれぞれちがう。いまは、民衆の反政府運動のあとにどのような世界があらわれるのか、想像もつかない時代だ。 ●さ お り◎ 「グローバル資本主義のつぎにくるのはグローバル市民主義だ」といっている学者もいるよ。 ★オッチャン◇ グローバル市民主義ね。つまり世界市民主義だ。コスモポリティズムはむかしからあったけれど、宇宙に浮遊する「世界市民」の、現実政治をニヒリスティックにみる世界観だ。世界市民主義は、アレクサンダー大王の世界統一の理想としての「世界主義」に敗れたギリシャの哲学者の没政治的な思想なんだ。アレクサンダー大王の軍事的征服の評価はべつとして、民族間の平等と超ポリス的な世界主義は、古代奴隷制国家という時代的制約はあっても、積極的に評価してもいいと思う。それは、世界資本主義に対抗して、労働者の国際主義をかかげた20世紀社会主義運動を、もういちど客観的に再評価する必要があるのと同じことじゃないかな。 ●さ お り◎ むずかしくて分らないところもあるけれど、また教えてね。 【2011/04/03 通算15回目/転載・引用・援用など、すべて自由】 Created bystaff01. Created on 2011-04-04 15:19:55 / Last modified on 2011-04-04 15:28:54 Copyright: Default |