小林たかしの談話室・第3回 | |||||||
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このままいくと戦争勃発?●さ お り◎朝鮮半島の軍事的な緊張で東アジアが物騒な状態になっていて、このままでいくと戦争勃発、なんてことにならなければいいんだけど……。 ★オッチャン◇そうやな。今回の事件で、21世紀が戦争の時代といわれた20世紀の延長なんだ、という感を深めてしまった人が多いと思うな。 ●さ お り◎戦争の20世紀を反省して国家や国民、人種や民族の対立を生みだした近代をのりこえる21世紀をつくるのはまだまだ夢なんかなあ……。 ★オッチャン◇NATOという集団軍事同盟があり、日米安保という二国間軍事同盟があって、世界中に軍事基地があるかぎり戦争の危険性はなくならんやろ。戦争反対のスローガンに、反基地・反安保が不可欠なのは分りきったことなんだけど……。 ●さ お り◎つい最近、BS放送で「ハワイ日系移民の営み」という、移民労働者たちの末裔たちをドキュメントした番組を見たんや。番組全体は、働くことの尊さを強調したサクセス・ストーリー的なものだったけど、日米開戦のときの話は勉強になった。太平洋戦争が始まると日系一世の移民のうち先生や牧師など指導的な人たちは米本土の強制収容所送りになる一方、ハワイで産まれた二世たちは志願して米国に忠誠を示すのや。一世たちは「祖国日本に銃をむけるわけにはいかない」といい、二世たちは「自由と正義のため」に米兵としてヨーロッパ戦線でファシズムと勇猛果敢に戦う。 ★オッチャン◇ハワイ移民といえば沖縄県出身のプロレスラーでのちにレフリーになってテレビの人気者になった、力道山の師でもある沖識名(おきしきな)を思いだすな。砂糖プランテーションの労働者として沖縄移民26名がハワイに上陸したのは1900年のことだった。その20年後に、1日10時間の低賃金労働の改善を要求する大ストライキがハワイ全島で5ヵ月間闘われたんだ。1万3000人の日本人がハワイ労働連盟のもとで闘ったが敗北してしまう。 ●さ お り◎なんで負けてしまったん? ★オッチャン◇砂糖キビ畑の耕作請負師宅爆破事件というフレーム・アップで、ストライキ指導者21名が起訴されたこともあったけれど、いっしょに闘ったフィリピン労働者との連帯意識の希薄さが敗因だった。この爆破事件の裁判と時を同じくして進行していたのが、ボストンでのサッコとヴァンゼッティ裁判だった。これも悪名高いフレーム・アップだったけれど、二人の移民労働者を救うために祖国イタリアをはじめヨーロッパ各地で抗議デモが繰り広げられた。一方、ハワイの爆破事件には被告たちの故国日本からはなんの関心も寄せられなかった。それどころか、ストライキを闘った日本人労働者たちからも被告たちを支援する声があがらなかった。 ●さ お り◎ふーん、ボストンの事件はインターナショナルな闘いとして発展したのに、ハワイの事件はナショナルな闘いとして終息してしまったんやな。でも、1920年といえば17年のロシア革命、その影響もあって起きた18年の米騒動は全国的な民衆蜂起となって闘われたのだから、ハワイ移民労働者のストライキ闘争もそうした繋がりがあったと思うな。 ★オッチャン◇そうかもしれないね。それから、太平洋戦争末期に、沖縄ハワイ移民二世の米軍の通訳が、ガマ(壕)にいた多くの沖縄の民衆に沖縄方言で投降を呼びかけて「集団自決」を防いだという話もある。戦争は国家と国家、民族と民族との非人間的な争闘だけど、そこには必ず民族主義とそれを利用する政治的陰謀がある。民衆の生存と地域の共同体を守るためには、国や民族をこえた非暴力の闘いが必要なんだということをいくら強調しても、しすぎるということはないと思うね。 ●さ お り◎「最悪の平和でも戦争よりまし」というコトワザがあるけど、朝鮮半島の緊張が早く終わってほしいな。「諸民族の接近と融合」「労働者は祖国を持たない」というのをユートピアにしてしまわないためには、労働者の国際連帯と反戦運動の世界的な広がりしかないからね。 【2010.11.30・通算7回目/転載・引用・援用など、すべて自由】 Created bystaff01. Created on 2010-11-30 20:30:13 / Last modified on 2010-11-30 20:40:28 Copyright: Default |