反グローバリズムの波 | |||||||
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反グローバリズムの波(2002年キャンペーン)
■日韓投資協定の国会批准NO、日韓投資協定全文 【概説】
「グローバリズム」「グローバリゼーション」というのは、1990年代末に「反グローバリズム」運動が台頭するとともに意識された概念であり、単なる国際化や世界化ではない。それは、世界展開する資本、とりわけ多国籍企業を中心とする大国の企業が、より安いコスト(賃金・税金・環境規制など)とより大きな市場(投資や販売の機会)、そして世界的な経済活動の安全保障を求めて、ここ20年ほどIMFやGATT(現在のWTO)や各国政府への圧力を通じて推進してきた、経済・政治全般にわたる再編成・構造改革のことである。それは生産性を低下させる社会的規制を撤廃し、競争力のない市場における弱者を淘汰し、同時にほとんどの人の予想に反して冷戦後の世界をむしろますます軍事化してきた。主体や中身を表すために、「企業グローバリゼーション(corporate globalization)」あるいは「新自由主義的グローバリゼーション(neoliberal globalization)」と呼ばれることもある。
日本においては、1980年代後半からの円高不況と90年代バブル崩壊後の構造不況の裏で、多くの企業が海外投資を行い、膨大な日本資本が世界展開を始めた。それに伴い日本の経済と政治に起こってきた変化は劇的なものである。
以上のような日本の政治経済の変化は、「グローバリズム」のもとで世界中で起こっている変化のひとつである。韓国でも1998年経済危機以降、IMFの指導のもとに構造調整がおこなわれ、大規模なリストラと、非正規雇用化(現在は5割を越えている)が進められてきた。米国でも、ハイテク産業のエリートたちと末端サービス労働者の格差は劇的に拡大し、民間のセキュリティ産業を潤わせた。端的に言えば「グローバリズム」は、社会を大きく分裂させてきたといえる。
「グローバリズム」は最初は多国籍資本やIMFなどの投資・融資の圧力で進められてきたが、1990年代後半からはそれに加え、より安定的で高度な自由化を実現・維持するために、WTOなどの多国間条約、あるいは二国間投資協定(Bilateral Investment Treaty: BIT)や地域的な自由貿易協定(Free Trade Agreement: FTA)、およびFTAの拡大という形で、各国の政策に枠をはめる形で完成がめざされている。政変や社会的圧力によって簡単に投資・通商環境が変えられては困る、というわけである。ちなみにBITは投資に関わるあらゆる障壁をなくすことを規定し、その規定に実行力を持たせるための手続きを含むもので、FTAはBITを含むより包括的な自由化協定として考えられているようだ。
1999年米国シアトルで、WTOの会議に抗議して、大規模な「反グローバリズム」のデモンストレーションが行われた。このとき、AFL-CIOの労働組合と環境NGOなどの市民運動が合流したと報じられた。米国の労働組合員の多くは、自らの雇用喪失の心配から中国などとの自由貿易に抗議した。国際的な公正といった論点は、まだこの時点では未熟だった。2001年には、ふたつの出来事が新世紀の新しい国際運動の台頭の契機となった。ブラジル・ポルトアレグレの世界社会フォーラムでは、既存の「グローバリズム」を告発しそのオルタナティヴを討議するための国際的な場がはじめてつくられた。イタリア・ジェノバG8サミットへの抗議デモには、20万人が世界中から結集した。これらを契機に、「反グローバリズム」運動は世界的なネットワークを形成しながら量質ともに奥深いものとなりはじめた。
こうした世界的な潮流に反して、日本ではリストラにも非正規労働者の無権利状態にも「構造改革」や自衛隊派兵を進める小泉政権にも、大きな反撃がなされてこなかった。日本的経営と古い自民党政治からの脱却だけが論点になり、肝心の労働・生活・平和を守るという視点よりも市場で勝ち組になることが優先され、市場自体を社会的に規制することを軸としたオルタナティヴがあるということを知らされてこなかった。そのため政治の争点も見えにくくなった。 文責:JNK Created byStaff. Created on 2002-04-07 08:23:05 / Last modified on 2005-09-06 04:51:02 Copyright: Default |