本文の先頭へ
韓国:コレイル孤立狙ったKTX民営化、非正規職運営の策略?
Home 検索

コレイル孤立狙ったKTX民営化、非正規職運営の策略?

国土部、効率化のために競争体制の導入を強調...「一般列車に補填しない」

キム・ヨンウク記者 2012.02.02 14:06

2月1日に開かれたKTX民営化討論会で、コ・ヨンソク国土海洋部鉄道運営課長は KTX分割民営化をめぐり、競争体制導入と効率化するだけで、民営化や財閥特典 ではないと強調した。だが、コ・ヨンソク鉄道運営課長が説明したKTX競争体制 の導入と効率化の必要性は、結局、鉄道公社の民営化が労組と社会的反対で失 敗し、鉄道公社を孤立させる計画と読めるものだった。

今後建設される路線で一番重要な水西発のKTX路線の運営権を財閥企業に譲り渡 せば、低賃金非正規職が運営する効率的なKTXにして、できるだけ黒字をあげ、 KTX料金を下げ、一般鉄道全般の構造調整にも影響を与える意図が伺えた。

この過程で、運営権を持つ企業への政権末特典の議論も出たが、特典の議論で は、むしろ競争体制導入の必要を協調して正面突破を試みた。政府の論理は、 競争体制の導入によるサービスの向上を強調することだったが、政府は今でも 鉄道民営化効果を徹底的に信奉していることを表わした。

KT民営化、「愛しています顧客様」

国会憲政記念館で開かれた「KTX民営化の何が問題か-韓米FTAが鉄道産業に与え る影響」の討論会には、鉄道労働者とコレイルの関係者、政界、市民約300人が 参加して、KTX民営化問題への熱い関心を見せた。

KTX問題は、民営化と財閥特典だというキム・ソンヒ高麗大教授とイ・ヘヨン韓 神大教授の主張に対し、コ・ヨンソク鉄道運営課長はKTX競争体制導入の必要性 を強調し、料金値下げとサービス拡大による鉄道需要拡大政策だと反論した。

▲コ・ヨンソク国土海洋部
鉄道運営課長

コ・ヨンソク課長は「政府の鉄道競争導入問題について民営化、財閥特典だと いう主張が続いているが、私が鉄道を担当して20年になるが、その時からずっと 推進してきた」とし「鉄道改革作業はコレイルが憎いからではなく、鉄道が発展 することで国家が発展し、国民も便利になるということの一環だ。国民の政府、 参与政府を経て、現政権まで継続的に推進している事項」と強調した。

彼は航空産業とKT民営化による競争体制の導入でサービスの質の向上と料金値 下げが可能になったと強弁した。

コ課長は「88年には大韓航空が航空を独占していたがアシアナが入ってきて、 今では航空市場が発展し、低価格航空会社まででき、料金も安定した」とし、 「民営化か国有化かの問題ではなく、市場を独占して行くのか、国民の便益の ために競争体制に行くのかという真剣な議論が必要」と主張した。だが、航空 産業は、始点から終点まで線路を敷く鉄道産業とは独占方式に差があり、すで に外国の航空会社との競争が導入されているという事実、秘密資金の議論まで 起こったという反論を受けた。

また「通信市場サービスは韓国通信が民営化(KT)した後、多くの企業の競争で サービスが悪化したということには絶対同意できない」とし「韓国通信の時に 苦情電話をすればなぜ電話するのかと言われたが、今は電話をすれば『愛して います顧客様』というように変わった。これは消費者が判断する。韓通が競争 のために、しっかり内部で構造改革をした。内部には苦痛があったが消費者の 立場としては、とても良くなった」と強調した。この主張も通信市場競争体制 を導入した後、料金の値下げは全くなかったという指摘に対しては、コ課長の 論理は説得力がなく、聴衆の笑いだけかもし出した。

コ課長は続いて「政府はコレイルが競争する対象を作ろうとしている」とし 「競争効果がないと主張するが、競争効果は明らかだ。私たちは民営化ではな く、むしろ競争を望む。どんな産業も競争で弊害が発生したことはない。競争 により窮極的に鉄道産業を発展させ、短期的に鉄道公社も効率化する」と説明 した。

コ課長はその上、世界的に失敗した民営化事例と紹介される英国の鉄道民営化 の事例も、サービスの質の向上による需要増加の事例として提示した。彼は、 「交通市場の構造改革の失敗か成功かの観点は、客さんが増えたかどうかだ」 とし「英国の鉄道も民営化の前は客が少なくなったが、民営化した後、今まで 需要が増加している。これを正確に見なければならない。英国の鉄道も問題は あったが、結果として問題を改善し、消費者へのサービスが良くなり、料金も 上がっていない」と主張した。

国土部、人員削減の要求ではなく、効率化しろという言葉に変える

コ・ヨンソク課長は討論の過程で水西発KTXの分割民営化による値下げの主張の 究極的な目標も表わした。コ・ヨンソク課長は「今でもKTX収入の3千億ウォン 程度を一般鉄道に補填しているが、これをなくせばKTX料金を下げられる」とし 「一般鉄道を運営する職員の人件費にKTXの収益を使ってはいけない。一般鉄道 と高速鉄道の暗黙の補填をやめる」と強調した。

続いて「長期的には水西発KTXに民間を参加させ、消費者のために鉄道料金を下 げ、一般鉄道への交差補助をやめ、(コレイルの)果敢な構造調整が必要だと思 う」とし「鉄道公社は当分、現体制で維持されるだろうが、公社の放漫な事業 場を新設の事業場に伝えてはいけない。今後新設される路線は原則的に民間が 参加することが望ましい」と釘を刺した。

コ課長はコレイルの効率化が人員削減と非正規職化の外注化などを意味するか という質問には「効率的でない部分の人員削減は、コレイルの労使が一致協力 する事項」とし「コレイルにかかる費用の多くは国民の血税だ。しかし私たち が人員を減らせというようなことは絶対言わない。効率化しろと言うだけだ」 と話し、自ら失笑した。

こうしたコ・ヨンソク課長の論理と主張に対し、討論会の参加者は基調発言と 討論などで強く反論した。

基調発表をしたキム・ソンヒ高麗大経済学科教授は、持分参加のような所有権 の移転だけが民営化ではなく、民間が参加した競争体制も民営化だと指摘した。 キム・ソンヒ教授は「国土部は民営化という表現を使わず、競争の導入だと表 現している」とし「競争体制の導入は部分的には事実だが、民間事業者に競争 体制を導入するためとして、本線を与えるのは直接の民営化の直前の段階」と 主張した。キム・ソンヒ教授は「公共鉄道の構造を改編して、商業化-自由化- 市場化の流れを作る完全民営化の直前の段階で、民営化の概念に最も近い概念」 とし「国土部の案は、鉄道民営化を頂点とする構造調整の核心領域を完全に構 築することで、こうした点で民営化ではないという主張は真実の隠蔽」と競争 体制導入の論理が民営化だと指摘した。

キム・ソンヒ教授はコ課長が需要増加の例として紹介した英国鉄道民営化には 「多額の金を注ぎ込んでも赤字を免れず、政府補助金が94年から2005年までに 24億ポンド増えた」とし「英国の鉄道民営化は失敗ではなかったという最初の 方をわが国の鉄道政策を担当する方から聞いた」と皮肉った。

また「政府は財閥特典ではないことを示したければ信頼できる事業性分析資料 で話せば良い」とし「そんな資料もなく『違う』とは、市民団体もそんなこと はしない」と反論した。

コ・ヨンソク課長が強調した航空産業競争体制導入も「航空と鉄道を比較する が、航空が空中に施設を作るなどという話は聞いたことがない。航空は点と点 を飛べば良いが、鉄道は点と占の間に線を引き、線に沿って動くという違いが ある。施設利用料と建設負債があるのが鉄道産業の特殊性だ。ここに競争が妥 当なのかは疑問」と指摘した。

政府の効率性の論理にキム・ソンヒ教授は「人件費節減に集中する効率性、人 員削減戦略の推進が社会的な問題になっている」とし「非正規職政策と外注化 で人件費節減政策を取れば、個別企業のコスト削減が社会的代価を発生させる」 と付け加えた。

イ・ヘヨン韓神大教授は「政府は鉄道公社独占の弊害をいうが、2000年代のKT 民営化の時、SKTは韓国通信に『独占の弊害をなくそう』と言った」とし「それ でKT民営化10年後にどうなったか。毎年莫大な収益を上げるが、何か料金が安 くなったか。そうしてあげた収益金はすべてウォール街に行っている」と指摘 した。イ・ヘヨン教授は「本当の独占は、現代起亜車が市場の70%を掌握するよ うな独占だ。そうした独占には何も言わずにいる」とし「国家として当然の 公的機能がなぜ独占か。本当に問題なのは財閥の市場独占」と反論した。

鉄道労組のパク・フンス鉄道政策研究チーム長は「自然独占的現象を市場経済 の独占と誤解して間違いを選んだ」とし「鉄道の財政危機は韓国鉄道だけの問 題ではなく、道路交通の爆発的な増加で全世界が体験している」と反論した。 パク・フンス チーム長はまた「どこの国も鉄道が主要幹線と競争する国はない」 とし「空港鉄道や地域鉄道、観光鉄道などの特殊目的の鉄道だけに競争体制を 導入した。独占が弊害だというのは誤った診断だ。競争効率化も嘘」と指摘した。

経実連のユン・スンチョル企画室長は「現政権が任期末に民営化を総力で進め ているようだ。KTX以外にも一連の民営化作業を見れば、民営化のオバケに取り つかれたようだ」とし「政府は目を覚ませ」と非難した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-02-03 20:16:56 / Last modified on 2012-02-03 20:17:14 Copyright: Default

関連記事キーワード



このフォルダのファイル一覧上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について