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韓国:仁川空港民営化また強行...『一気民営化』で公共部門は崩壊
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仁川空港民営化また強行...『一気民営化』で公共部門は崩壊

専門家と野党、市民社会「社会基盤施設公共サービス基本法の制定を」

ユン・ジヨン記者 2012.06.27 18:02

政府が意気込む『仁川国際空港民営化』の刃をまた抜いてきた。政権の末期、 医療民営化とKTX民営化、清州国際空港、地下鉄9号線などの民営化爆弾を連続 して受けた韓国社会にまた民営化議論が再点火しそうだ。

野党をはじめとする労働市民社会も沸き立っている。医療サービスをはじめ、 KTX、ガス、空港、通信、公共機関などは続々と民営化の手順に入り、野党と 労働・市民社会は対応策作りのための共同摸索の雰囲気になっている。専門家 の間では、公共部門の民営化を阻止する法制度的な装置を要求しはじめた。

[出処:公共運輸労組]

仁川空港民営化強行しようとする政府
「民営化など先進化政策170本のうち123本が完了...残るは47本」

企画財政部は6月26日、『公共機関先進化計画の推進実績点検および今後の計画』 を発表し、仁川空港民営化売却を本格化した。企財部は該当計画を通じ、仁川 空港公社の持分売却をはじめ、ガス産業競争導入、電気安全公社機能調整など 3つの課題を19代国会に法改正案として再上程すると明らかにした。

特に政府は仁川国際空港民営化を『先進化計画遅延課題』に分類した。専門の 空港運営会社との戦略的提携を通じ、持分49%を売却するかどうか、前の国会で 議論の末に法改正が失敗したという説明だ。

また政府は、ガス産業競争導入のための法改正も早期に推進することにした。 また韓国建設管理公社の民営化、観光公社・中文観光団地と国民体育振興公団 スポーツセンターの売却、ロッテ駅と富川駅、ヨスペトロの出資持分売却など 6つの課題は資産管理公社に委託して売却する計画だ。

企財部は「先進化計画実績を点検した結果、民営化、出資会社整理、機能調整 など170本の課題のうち123本を完了して47本が進行中」と説明した。

2011年現在、持分売却を含む民営化の推進で、農地改良など3つの機関が売却さ れ、韓国電力技術と地域暖房公社、韓電KPSなど4つの機関は、上場後に持分を 売却し、あとは推進中か延期された。韓国空港公社などは一部で売却の推進が 続き、大韓住宅保証は民営化を延期した状態で、仁川国際空港公社は民営化が 本格化している。

『競争導入』という名目で民営化の手順を踏んでいる分野と機関は、ガス産業 (韓国ガス公社)と放送広告代行産業(放送広告公社)だ。そこに水西発KTXの 運営権民間企業払い下げ方式の競争導入民営化も追加された。

電力、ガス、鉄道、空港、免税店、公共機関まで...一気に民営化

公共財に分類される電力、ガス、鉄道などの民営化が加速し、社会的な不安も 広がっている。

[出処:チャムセサン資料写真]

政府は今年2012年、6次電力産業需給基本計画の樹立で、2010年の5次計画より 拡大した民間資本の電力産業建設を進める方針だ。現在民営化された発電部門 は設備全体の15%以上を占めている。

専門家は6次計画に民間資本発電建設の意志が相当部分反映されれば、民営化さ れた発電領域が発電全体の1/3以上を占めると予想している。

また現在、韓国ガス公社とGSカルテックスを中心に、ガス貯蔵基地の民間資本 建設の動きが捉えられている。GSグループは、すでにガス直導入を成功させ、 都市ガス小売事業と発電所も保有している。

そのため彼らが生産基地まで保有すると、単に直導入者が物量を処理する貯蔵 基地を持つという次元ではなく、導入と卸売、生産基地を網羅したガス産業の 民営化の端緒になるという憂慮が流れている。

民営化による鉄道産業の未来も暗いのは同じだ。最近政府は「2015年完工予定 の水西-平沢間高速電鉄新設区間を活用し、水西-釜山、木浦間高速鉄道運営を 民間企業に任せ、鉄道産業の民営化を推進する」方案を発表した。

水西-平沢路線は、江南圏と首都圏南の需要を創出するという点で、最も重要な 新設路線と言われている。重要なことは、水西-平沢区間民営化は水西から釜山 と木浦などが入るという点で、民間がこの路線を掌握した瞬間、今後京釜線と 湖南線のどちらにも介入できるようになる点だ。

ソン・ユナ社会公共研究所研究委員は「これは水西-平沢の一部区間の民営化で はなく、京釜線と湖南線全部の民営化を意味し、民営化政策が施行されると 30年間の運営権を持つことになる」と説明した。

この他にも観光公社の免税店民営化も続々と推進中だ。すでに2008年から2010 年まで、観光公社が運営していた10の免税店のうち4つの免税店が撤収を完了し た。12月には釜山港、2013年2月には仁川空港の免税店が閉鎖される予定だ。

国内初の空港民営化事例である清州国際空港は、2012年2月1日、韓国空港公社 が運営権を売却して民営化された。清州国際空港の民営化方式は、空港施設の 所有は国家に残し、空港の運営権を30年間民間に譲渡する運営権売却方式だ。 清州空港の民営化が進み、国民の費用負担の増加と公共財としての役割喪失、 航空安全不安招来などの憂慮をもたらしており、仁川空港などの空港民営化の 推進にも力を貸している。

専門家および野党、市民社会...『社会基盤施設公共サービス基本法』制定要求

このように、政権末期に公共部門の民営化が加速し、労働界と市民社会も対応策 を作るために苦心している。

すでに公共運輸労組は5月末、労組内部に民営化対応連席会議を構成し市民社会 との連帯戦線構築を始めた。また、公共部門各領域の民営化議題全般をまとめ る汎市民社会連帯体を構成し、政策討論会と公聴会推進、法案発の、宣伝広報 活動、署名運動、大統領選挙政策議題提案活動などを構想している。

民営化を阻止する法制度的な装置用意の動きも表面化している。公共運輸労組、 連盟とKTX民営化阻止氾国民対策委、民主統合党、統合進歩党など労働市民社会 と野党は、27日午前10時、国会図書館小会議室で討論会を開き、政府の民営化 強行に関する代案を模索した。

この場で専門家たちは『社会基盤施設公共サービス基本法』の制定を強調した。 ソン・ユナ研究委員は「この翻案は無分別な私有化と私営化を制限すると共に、 既に私有化された領域の再公営化、つまり再国有化を含む」と説明した。

民主社会のための弁護士の会のソン・ギホ弁護士も「制定案は、社会基盤施設 公共サービスの運営における基本原則を法律で提示し、公共性を維持する 基本的な運営原則を規定した基本法としての性格を持つ」と強調した。

『社会基盤施設公共サービス基本法』は、△社会基盤施設公共サービスの公共性 と国民のサービス接近権を一次的な価値と規定し、営利と特典の対象には ならないことを規定、△脆弱階層の接近権を保障する利用料金特例を経営上の 赤字で処理しないようにすること、△無分別な社会基盤施設公共サービスの 私有化と私営化を制限すること、△私有化または私営化契約時再公営化手続きと 条件をあらかじめ含めることが主な内容だ。

一方、民主統合党のキム・ヒョンミ議員は「19代国会では公共機関民営化政策 だけでなく、最近問題になった地下鉄9号線のような民間資本事業制度の効率性 の徹底した検証で、公共サービスの目的と範囲に対する新しい国民的な合意が 必要だ」と主張した。またキム議員は、公共サービスに対する発想の転換にな る『公共サービス基本法』のような法制度の用意を強調した。

統合進歩党のパク・ウォンソク議員も「公共サービス基本法制定の基本趣旨と 内容に積極的に同意する」とし「また、政府が19代国会で再推進するという 『サービス産業発展基本法』にももっと積極的に対応する必要がある」と説明 した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-06-28 10:24:28 / Last modified on 2012-06-28 10:30:28 Copyright: Default

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