安倍政権から高市へ、メディア支配の実態〜古賀茂明さんが講演
10月26日、立教大学タッカーホールで行われたシンポジウムで、テレビ朝日「報道ステーション」を追われた古賀茂明さんが、安倍政権下のメディア支配の実態を生々しく伝えた。面白かったがゾッとした。連続シンポジウム＜NHKと放送メディアのこれから 第５回「甦れ！テレビ朝日」＞に登壇した古賀茂明さんは、パワポの写真・記事などを駆使して自身の体験を語った。古賀さんは2015年、日本人ジャーナリスト後藤健二さんがイスラム過激派組織「イスラム国」に身柄を拘束され殺害された事件に関して、安倍政権の対応を強く批判した。それが官邸の逆鱗にふれTV局に圧力がかかり、「報道ステーション」を降板させられた。最後の放送日（2015年3月27日）に「I AM NOT ABE」とプラカードを掲げたことで知られている。
そのときの裏話を披露した。「あれはいわゆるプラカードではなくコンビニでコピーしたもの。その紙を隠してスタジオに持ち込んだ。わかると他のスタッフに迷惑がかかるからだ。私は左翼と思われているが官僚出身で、右でも左でもない。民主党政権のときは仙谷官房長官とやりあった。ジャーナリストは政権監視が仕事だと思っていて、おかしいことをおかしいと言ってきただけ」。
古賀さんは、安倍政権当時の自民党によるマスコミ支配の手口を語った。安倍首相・菅官房長官・今井尚哉総理秘書官が最強のトリプルコンビで任務分担。安倍首相はマスコミトップの会食・携帯電話交換、菅官房長官は朝昼晩の有識者コメンテーターと会食、今井秘書官は報道現場に介入しうるさい記者を排除するなど、計画的に弾圧と懐柔を行ってきた。当時、副幹事長だった萩生田光一氏は、選挙前に在京キー局報道部門に「公正・中立」を求める文書で脅しをかけたが、それが見事に功を奏し、選挙報道が萎縮し半減したこともある。こうしたマスコミ支配で世論を誘導し、安倍長期政権が実現したという。
2025年10月に�盪埓�権になった。�盪垰瓩倭輒蛎膺辰里箸�にテレビ停波を言いだした人物で、メディア関係者の間では「安倍の悪夢再来」と戦々恐々としている。古賀さんは、今回のトリプルコンビは、�盪埃鸛蝓η訐古銚�一幹事長代行・今井尚哉内閣参与の３人で、とくに萩生田光一はとても危険だという。「安倍のときはまだ安倍反対の世論が強くあったが、いまは社会全体に右になっている。メディアで反中国があおられ戦争へのリスクが拡大するでは」と危惧している。
古賀さんはそういう状況であるが、マスコミ記者は政権批判の声を上げ続けるべきだという。「もう変えられないとあきらめたら終わり。自分がだめになる。ガンジー言葉をかみしめるとき」とその言葉は紹介した。
「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうすることをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである」（ガンジー）
シンポジウムは、ほかに砂川浩慶・杉浦ひろみ・田中優子の各氏が加わり、メディア状況をどう変えていくかを熱くディスカッションした。主催は、「立教大学社会学部メディア社会学科・砂川ゼミ」と「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」だった。（M）
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