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投稿者 : ジョルディ・オリオラ・フォルシュ(カタルーニャ州・バルセロナ)

スペイン司法の濫用にカタルーニャは唖然!

PSOE(社会労働党)とスマール(中道と左派)は政権を維持し、PPとVOX(右派と極右) の政権を回避するために、彼らは8政党と協定を結んだ。カタルーニャの独立支持派は、 協定を締結するために必要不可欠な条件として、悪質化したスペインナショナリズムを身 にまとった司法当局がカタルーニャのナショナリストを迫害してきた司法弾圧(500人が 有罪判決を受けたか、裁判中)を無効化する恩赦法の承認を要求した。PSOEもナショナリ スト色が強く、恩赦を拒否していたが、選挙後にUターンし、政権を失わないために恩赦 法を受け入れた。

恩赦法はスペインのナショナリズムに受け入れられていないため、どのように適用される かはこれからだが、実際上は、カタルーニャ独立支持者たちが自己決定を問う住民投票を 実施したことに何の罪も犯しておらず、彼らに対する告発は国家が彼らに対して行った「 ローフェア」(政治的目的のために司法を利用すること)の一環であったことを認め、事 件を無効化するプロセスがあれば公平といえたであろう。そうであれば、国民投票の有権 者を不当に攻撃した警察官も裁かれることになった。一方、恩赦は双方が犯したとされる 犯罪を無効化するものだが、実のところ国は違法な行為を行ったのだが、独立賛成派は民 主的に行動し罪を犯していないのであった。

この恩赦は、独立賛成派に罪をなすりつけるものであり不公平なのではあるが、これまで そうしてきたように、強者が弱者に勝てず、屈辱を与えることができないことから、スペ インナショナリズムを狂気に走らせているのである。国家が強者である以上、恩赦を承認 するということは、完全に合法的な政治運動を壊滅させようとする非合理な目的で、国家 が汚い手を使ったことを暗黙のうちに認めていることを意味する。

スペイン国会は、裁判官がカタルーニャの独立支持者に不利になるような歪曲した解釈を 試みることが確実であったため、この法律を曇りのないものにした。独立支持者であるこ とを理由に特定の個人に恩赦を与えることはできないため(事実、「独立支持者であるこ と」は「彼らの犯罪」であった)、カタルーニャ独立プロセスの文脈で、横領(個人的な 富やEUの財政的利益に影響を与えるもの)、大逆罪(「領土保全に対する有効な武力行使 」を伴うもの)、テロリズム(「意図的に深刻な人権侵害を引き起こしたもの」)を除外 した上で、特定の犯罪が恩赦の対象とされた。

3月7日に可決されたこの法律は、右派と裁判官によって拒否され、アスナール前大統領は 、「恩赦法に反することができる者は誰であろうとそれをすべきだ」と述べた。立法者の 意思を無視して恩赦法の適用を麻痺させる方法についてのマニュアルが、司法評議会(ス ペイン司法の最高機関)の公式メールから全判事に配布され、カタルーニャの独立賛成派 に対する恩赦法の適用を行えないようした。

大逆罪に関してはいえば、ホアキン・アギーレ判事は、彼によるところの、ヨーロッパを 不安定化させるためのカタルーニャ独立運動とプーチンとの秘密計画の罪で告発された人 々に恩赦を与えることを望んでいないことがある。アギーレ判事自身、ドイツのテレビ局 で、被告たちの信用を失墜させるために、この事件の秘密情報を広める発言をしている。

また、マヌエル・ガルシア=カステリョン判事は、2019年のデモをテロリズム犯罪と決め つけて、プッチダモンと他の7人(スイスに亡命していた)に恩赦を認めようとはしなか った。幸いなことに、判事は事件を終結せざるを得なかったが、それは恩赦法の適用では なく、手続き上のミスが原因だった。被告のうち5人はようやく亡命先から戻ることがで きた。

また、2019年に記憶に残る警察の作戦で大ニュースになったのだが、平和的なカタルーニ ャ独立運動がテロリズムに傾斜したとほのめかすことで、2カ月後に実施される選挙に影 響を与えようとしたとするテロ容疑で逮捕された7人の若者たちに恩赦を認めようという 考えもない。取り調べのビデオからの情報や文脈にそぐわない切り取りが、捜査上の秘密 を無視してマスコミに流出することもあった。選挙後、彼らは保釈されたが、本当にテロ リストだったら釈放されただろうか?判事は恩赦を認めず、欧州司法裁判所に持ち込むこ とを決定した。彼らの最終的な無罪はまた引き延ばされる。

横領に関しては、最高裁は恩赦を却下し、プッチダモン、コミン、プイグの逮捕状(禁錮 12年!)を失効させなかった。最高裁は、住民投票を組織することで政治家たちは「個人 的な富」として横領したのであり、1ユーロも手元に残していないにもかかわらず、個人 的な資金を投入しないことで節約したとみなすことができると主張している。また、EUの 財政的利益を害したとも主張している。

裁判官たちは、何を記録に残せばいいのかさえわからないため、横領した金額を明言する ことはなかったが、2017年にカタルーニャ州政府の財政がマドリードの政府に介入された のは事実であり、PPのクリストバル・モントロ財務相はすでに、住民投票の資金調達に公 的なユーロは使われていないと断言していた。実際には、住民投票は自発的な意思に基づ き、私財を投じて実施されたため、いかなる横領もなかった。

さらに判事たちは、まだ承認されていない(!)EU指令を使ってEUへの金銭的損害を正当 化しようとしており、それは2019年の最高裁判決には記述されていなかった欧州経済資金 の流用に言及し、今度はあったと主張している。

最高裁のこの発表において、5人の判事が賛成票を投じたが、1人の判事、アナ・フェレー ル(明確に独立反対派)は、恩赦を認めないことで法の解釈がねじ曲げられ、欧州人権裁 判所からスペインの司法が非難される危険性を考慮し、反対票を投じたことは評価される 。

現在、20人の活動家と4人のカタルーニャ州公務員、そして50人のスペイン警察官に恩赦 が与えられている。この恩赦が、平和的なカタルーニャ独立派の活動家に当然に適用され るのではなく、彼らを攻撃した警察官に適用されるというのは、二重の侮辱である。

そして、人間的なレベルで最も深刻なのは、カタルーニャ人を除くスペイン国民が、カタ ルーニャ独立運動家に対する司法の乱用を正当化していることだ。なぜなら、メディアは 彼らの人間性を奪い、彼らの目的をまったく受け入れがたいものとして紹介しているから だ。カタルーニャ人から権利を奪うことで、彼らはファシズムという獣に餌を与えている のだ。EUを悩ませるこの獣は、何世紀にもわたってカタルーニャ人を攻撃してきた。そし て今、カタルーニャが政治的権利を主張しているため、このファシズムはスペイン国家全 体で何の異議もなく受け入れられている。

カタルーニャ州では、上級判事が恩赦法を条文通りに適用するのではなく、スペイン国会 に対する一種の司法クーデターとして、自分たちの都合のいいように適用していること、 そして、そうしたからといって何も起こらないことに驚きが広がっている。憲法裁判所さ えもそれを許せば、スペイン国内では彼らを止める手立てはなく、欧州司法に頼らざるを 得なくなり、そこで裁判は何年もかかることになる。唯一の解決策は、カタルーニャがア ンドラやポルトガルのように、ヨーロッパの新しい国家となることだ。


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