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共生の歴史を学んだフィールドワーク〜映画『アリランラプソディ』の舞台で

知多 歩

 外歩きに最適な天気に恵まれた11月22日、戦前から戦後にかけて在日コリアンが差別に抗いながら助け合って暮らしてきた川崎市桜本地域でのフィールドワークに参加した。

 主催はさいたま市の市民グループ「ステップワン」。参加者は30名。メンバーはさまざまな市民活動の場で顔なじみの女性がけっこう多かった。

 朝10時前から夕方5時近くまで盛りだくさんで、なかなかハードなスケジュール。


*「川崎在日コリアン 生活・文化・歴史研究会」代表 山田貴夫さんによる『在日コリアンと共に生きる街 川崎・桜本の歴史』と題した報告から、この日のスケジュールはスタート。

 まず午前中に、朝鮮との関わりの歴史、地域の特性、徴用や関東大震災時のこと、川崎の朝鮮人人口の変遷、戦後の在日コリアンの法的地位・処遇変化、近年のヘイトスピーチをめぐる動きなど、多岐にわたる濃い内容の説明を受けた。

 その後、地域で子育ての輪を広げる歴史ある保育園を見たり、生活が息づく路地や暮らしやすそうな印象の商店街を散策。


*在日大韓基督教会川崎教会でお話をうかがったソン・プジャさんに、今回のフィールドワーク主催者から手作りのプレゼント。

 共生のまちづくり中心的施設である「川崎市ふれあい館」での昼食をはさんで、午後は、奈良県で生まれ壮絶ないじめ差別を受けて育った在日2世の宋富子(ソン・プジャ)さんの人生を聞かせていただいた。朝鮮人の自分を受け入れられず自死したいとまで苦しみもがいた体験、人間らしく気高く生きようと決めた31歳以降の歩み、影響を受けた人物や本、結婚生活や家族のこと、一人芝居や講演活動、集大成としてめざしている川崎歴史ミュージアムをつくる構想まで、正直に率直にユーモアをまじえての引き込まれるお話だった。口調や声のみならず、若々しいお顔、しゃきっとした佇まいは、83歳に抱くイメージとは程遠く驚いた。90歳までは講演を続けるとおっしゃる見事な気力も見習いたい(が、きっと無理)。

 2時半からは第二部として再び外に出て、朝鮮学校・中留地区・池上町・セメント通り・中小の工場街や日本鋼管など大会社の敷地、工場跡地、入り組んだ道にそれぞれの向きで雑然と建ち並ぶ家々を縫うように歩いた。小さな庭や道、公園などそこここに実のなる樹木、食べられる葉の草木が植えられ、逞しく生き抜く生活の知恵がうかがえるようだった。

 フィールドワーク前日の11月21日、川口市でクルド人へのヘイトスピーチやデモをする神奈川県の男性に、さいたま地裁が仮処分決定で禁止を命じたというホットなニュースがあった。埼玉から参加した我々も、日本で初めてヘイトスピーチへの罰則付きの市条例制定を実現させた川崎市民と関係者もこの話題で喜び合い、互いに連携協力して差別のない社会を作りましょうと大いに盛り上がった。

 興味深く教えられること多い話や説明、初めて訪れた独特の在日コリアンゆかりの地、そして何よりも同じ思いの仲間と出会い共に過ごした丸一日は快く嬉しくて、枯渇しかけた我が勇気が甦るようだった。

 快い疲れと桜本商店街で買ったキムチとチヂミをお土産に、どっぷり暮れた家路についた。


Created by staff01. Last modified on 2024-11-24 11:05:44 Copyright: Default

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