報告 : 福島で「憲法9条の現代的意義」講演会 | |||||||
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特急たから@白河です。
今日(15日)、福島県石川町で開催された「憲法9条の現代的意義」講演会(主催:石川地方憲法・教育基本法をまもる会)に行ってきましたので報告します。講演者は前田朗さん(東京造形大学教授)です。 前田さんとはあちこちでお会いしていますが、9条をめぐる問題できちんと話を聞く機会はあまりなかったと思います。 講演は、前田さんのライフワークになっている「軍隊のない国」実地調査(未調査の国もある)の結果に基づき、軍隊を追放した国家の実例を報告しながら9条の持つ普遍性を訴えるとともに、憲法9条を「守る」運動から「作り育てる」運動への飛躍を呼びかけるもので、この前田さんの主張は過去も現在も一貫しています。 軍隊のない国家は、現在、世界に27カ国あり、その実情も様々。ミクロネシアのように、自国は軍隊を持たないがアメリカとの間で有事には防衛してもらえる協定を結んでいる国がある一方、国家全体が2000メートル級の山脈の上に位置しているため、物理的に侵略の危険を想定しにくく、軍隊を持つに至らなかったアンド ラ(フランスとスペインの間に挟まれた山岳国家)のような例もあります。米軍のグレナダ侵攻(1983年)後に軍隊を廃止したグレナダ、麻薬密売等に手を染めた独裁者・ノリエガ将軍が米軍に侵略を許した結果、軍隊がなくなったパナマの例もあります(外国支配によって軍隊がなくなる類型で、日本もこの型に入る)。軍隊 を維持するための税負担に国民が耐えられず、庶民が窮乏した結果、国王みずから軍隊を廃止したヨーロッパの小国、リヒテンシュタインの実例は、軍隊というものが「一部の富裕階級のオモチャ」に過ぎないことを教えてくれるものといえるでしょう。非武装の国として最も有名なコスタリカは、軍隊が自国民を殺したために軍隊 を廃止した例であり、「自衛」のための軍隊が誰を守っているのかを教えてくれる好例です。(アメリカの利益を守るために「自衛」隊が出動し、基地建設に反対する「自国民」に敵対している沖縄を見よ!) しかし、前田さんの話は、単に世界の非武装国家の実例を紹介することに主眼が置かれているのではありません。「悪法阻止運動に取り組むことは確かに重要なこと。しかし、悪法断固阻止を唱えながら日本の運動は一歩後退、二歩後退を繰り返し、有事法制などが成立する大変な状況になった。悪法阻止は大切だが、米ロ英仏で さえ軍拡の一方で軍縮を余儀なくされる中、日本だけが戦後60年一貫して軍拡を続け、自衛隊に一時的な軍縮すらさせることができなかった現実を見なければならない」と述べました。 これは戦後日本の反戦平和運動、市民運動の限界を指摘する非常に厳しく、しかし正確な指摘であると私は思います。悪法反対のみに力を注ぎ、平和を作り育てるための対案をみずから考え発信することができなかった反戦平和運動。 『平和は願ったり、愛したりするものではない。そんなものは何の役にも立たない。維持するものでもない。平和とは作り出すものである。武力では平和を作り出すことはできない。1人びとりの覚悟と実践だけが、平和を作り出していくのである。』(平良夏芽さん) 労働者・市民の味方の振りをしながら、かんじんの闘いの現場からは常に逃亡し続ける「たしかな野党」の上層部には覚悟も実践もなく、あるのはただ「9条守れ」と叫ぶだけの「念仏運動」です。そんな運動しか存在しなかった日本が、憲法9条を持ちながら世界のすう勢から2周も3周も遅れているのは必然だったのだと、改 めて思います。 前田さんは最後に、9条を「守る」から「作り育てる」へと飛躍させる運動として、無防備地域宣言運動を挙げました。「敵対行為の行われない非武装地域を攻撃してはならない」と規定するジュネーブ条約追加第一議定書を根拠に、各地域が次々と「無防備地域」を宣言し、それを広げていくものです。ひとつひとつの地域は小 さくても、それが各地で宣言されるようになれば、大きな平和作りの基礎が築かれると思います。 Created by staff01. Last modified on 2007-06-17 10:52:09 Copyright: Default |